雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

チベット旅行記/河口慧海

読了まで何ヶ月かかっただろうか。

まぁ、長い旅行記である。

それだけ道中の出来事やら沢山あるのだが、事の仔細が、上から目線なのが気になった。

明治維新の矜持を前提に他国を眺めているので、それはもう酷い言い様である。

冒険記として、或いは民俗学として、当時のチベットの人々の暮らし様がわかるのだが、一方で偏見に満ちた政治や経済の記述はあてにならない気がする。

だが、二十世紀初頭の国際情勢や日本人の考えのようなものが透けて見えてくるのが面白い。

 

 

チベット旅行記

チベット旅行記

 

 

木/幸田文

幸田文をもう一冊。

今回も図書館で借りたのだけど、こちらの方が気になっていたのだった。

タイトルの通り、木に関する随筆である。

雑学を披露するでもなく、淡々と木に対する印象や描写で綴られ、作者の思いが込められる。

随筆とは随想、つまり心に浮かぶ由無し言を、書き綴ったものだと言えば、誠に正しい随筆であると言える。

だが一方で、そういう文章は反りが合わないと腑に落ちないものになるだろう。

残念ながらこの本は、今ひとつピンと来なかった。

良い文章だし、テーマだって面白いのだが、ちょっとついていけない。

読んでいても言葉が上滑りして、どうも腑に落ちた感じがしない。

残念である。

 

木 (新潮文庫)

木 (新潮文庫)

 

 

雀の手帖/幸田文

幸田文幸田露伴の娘、と書いてみても、もはや幸田露伴の読者なんて、学生か年寄りだろうか。

ましてや、娘の幸田文なんて読まれていないような気がしてならない。

この随筆(あえてエッセイとは言わないでおこう)は、新聞に日々掲載されたもののようだ。

そこで綴られる日常と今の自分との距離感に思いを馳せると共に、変わらないものの数を数えてみたくなる。

それ以上に思うのは、幸田文のような上品さというものが、今はどこにあるのだろうか。

この随筆の語り口というものは、子供の頃の東京の東側の感じがする。

それは観光地としての下町ではない。

江戸情緒だとか、下町風情といったものではなくて、そこで暮らす人たちの言葉使い、息遣いのようなものが、立ち昇ってくるように思った。

 

雀の手帖 (新潮文庫)

雀の手帖 (新潮文庫)

 

 

 

自分を信じていい時代/モーリー・ロバートソン

電子書籍をふらっと買ってしまった。

モーリー・ロバートソンは、週末深夜のFMでオルタナ系電子音楽をかけるイメージしか持っていなかったのだけれど、最近はTwitterで発言をみかけたり、TVにも出ているようだ。

そんなモーリーが本を出していたので、ちょっと買ってみた。

ネットでフラット化する世界観の話。

ちょっと話題が前だよな、と思ったら6年前の本だった。

 

 

 

 

モーリー・ロバートソン

フラット化する世界のマネジメント/スーザン・ブロック&フィリップ・ホワイト

この本もまた図書館で借りた。

改めてビジネス書を読んでみたものの、いまいちピンとこない。

ビジネスにおいて様々な国、人、習慣を組み合わせて活動することのノウハウをまとめた本である。

それだけのことに、フラットという言葉を使ってしまうことのほうが、実は問題なのではないだろうかという気もする。

途中で飽きて流し読みしてしまった。

 

フラット化する世界のマネジメント

フラット化する世界のマネジメント

 

 

定年後の人生を変えるアドラー心理学/八巻秀

この本もまた図書館で借りた。

老いの問題とは何なのか、残された時間を意識しながら生きるということはどういうことなのか、アドラー心理学の考えを用いて一つの答えを導いているように思った。

環境が変わり、対人関係が変わることで直面する問題に対して、アドラー心理学観点で解決策を提示する、そんなケーススタディのような本だ。

 

 

定年後の人生を変えるアドラー心理学 Adler’s Barへようこそ (The New Fifties)

定年後の人生を変えるアドラー心理学 Adler’s Barへようこそ (The New Fifties)

 

 

 

日本一わかりやすいアドラー心理学入門/谷口のりこ、土居一江

この本もまた図書館で借りた。

前からちょっと気になっていたアドラー心理学をちょっと読んでみようと思った。

とはいえ、いきなり専門書に手を出すほどうぬぼれてもいない。

ちょっとした入門書で、概要がつかめれば、と借りた。

読んでみると、なるほど流行る理由がありそうだと思った。

自己啓発、ポジティブシンキングにつながる考え方なのだな。

原因論ではなく目的論。

魔法の言葉など、いかにもな用語が並ぶ。

だが、教育にも役立つらしい。

もう少し読んでみようかという気になった。

 

日本一わかりやすいアドラー心理学入門 (リンダパブリッシャーズの本)

日本一わかりやすいアドラー心理学入門 (リンダパブリッシャーズの本)