雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

湾岸道路/片岡義男

とても奇妙な物語だ。 主人公は美人だが金銭感覚の無い妻と、スポーツジムのインストラクターでカッコイイ事が判断基準の夫、という組み合わせだ。 まず目につくのは、二人共、会話が恐ろしく短い。 ほとんど単語で会話をして、自分語りなどしない。 だが、…

雨の日には車をみがいて/五木寛之

初めて五木寛之の小説を読んだ。 雑に言ってしまえば、主人公の女性遍歴と車遍歴をテーマにした短編集というところだろうか。 だが、それぞれの車についての印象もさることながら、様々な女性との付き合い方も面白い。 それは恋愛に至るまでの過程だったり、…

泰平ヨンの未来学会議/スタニスワフ・レム

レムの泰平ヨンシリーズを借りてみた。 未来学会議でテロに巻き込まれ、脳移植を経て未来世界で目を覚ますと、そこはドラッグ漬けの世界で、というドタバタSF。 ドラッグ社会を批判しているとかって感想も見るが、批判しているだろうか。 むしろ、現実とは何…

沖縄生活誌/高良勉

この方の著作を読むのは初めてだと思っていたら、吉本隆明の南島論の著作「琉球弧の喚起力と南島論」で共同執筆されていた。 この本は、一言でいうなら、四季を通じて沖縄の慣習等を紹介する本だ。 正月に始まり大晦日に至る沖縄の一年を、フィールドワーク…

夏への扉/ロバート・A・ハインライン

何故か、この本を読んでいなかった。 SFの入り口がウェルズ、ヴェルヌ、小松左京、眉村卓であった小中学生の頃、長編は長すぎるからだろう。(小松左京の長編も、ほとんど未読) なので、ちょっと読んでみようかという気になった。 読んでみたら面白い。 中…

きょうも上天気/浅倉久志 訳、大森望 編

ふと図書館で眼についたので借りてみた。 浅倉久志が翻訳したSFの短編のアンソロジーである。 バラードやヴォネガットの作品は、以前読んだことがあったが、あまりピンとくる作品がなかった。 久しぶりに活字を読んだので、読めてないのかもしれない。 きょ…

失敗の本質/戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎

ちょっと気になっていたので買ってみた。 旧日本軍の作戦失敗の原因を、組織論で解説する、という本。 どっちかというと、歴史読み物というよりは、ビジネス書である。 学習する組織だとか、意思疎通だとか、そう言うのが気になる人向きかと思う。 逆に、何…

ロック読本/渋谷陽一 選

某大手の古本チェーン店で叩き売りされていたので買ってみた。 福武文庫を叩き売りするなんて、最高すぎる。 まぁ、世間では本を読まないらしいので、そんなことで喜んでいるのだって変人扱いなんだろう。 執筆陣は渋谷陽一を始めとする音楽ライターだけでな…

持たない幸福論/pha

年末に期限切れになる楽天ポイントが貯まってたので、今まで読んでなかったようなものを、ちょっと読んでみようかと探していて気になった1冊。 ちょっと著者の方はネット上では知っていたが、本を出していることは知らなかった。(ネットを表面的にしか見て…

プリニウス/ヤマザキマリ、とり・みき

Koboでキャンペーンで無料だったのでついポチッと。 古代ローマの博物学者の伝記マンガ、といったところか。 プリニウスの変人ぷりをネタにしている、と言うと、どうやらちょっと違うようで、ネロとの関係も今後展開されるような伏線が張ってある。 ともあれ…

翔んで埼玉/魔夜峰央

家に置いてあったので、読んでみた。 まぁ、らしいっちゃあらしいマンガである。 ギャグマンガの感想など書くものじゃない。 このマンガがすごい! comics 翔んで埼玉 (Konomanga ga Sugoi!COMICS) 作者: 魔夜峰央 出版社/メーカー: 宝島社 発売日: 2015/12/2…

ひとり暮らし/谷川俊太郎

久しぶりに谷川俊太郎を読み返してみる。 詩人としてというより、理想的な老後の生活を送っている先輩として、という感じがしている。 変化し続ける世界と、老いていく自分との関係は、難問だという気もするし、大したことではない気もする。 だが、確実なの…

青猫/萩原朔太郎

やっと読み終えた。 本編より、付録の詩論の方が面白かった。 青猫 作者: 萩原朔太郎 発売日: 2012/09/27 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る

日本の面影/ラフカディオ・ハーン

久しぶりに、ラフカディオ・ハーンを読む。 この本はハーンの日本賛美の本である。 そうでない読み方ができないぐらい、日本を持ち上げているので、読んでいる方が気恥ずかしくなるくらいだ。 それにしても、いつから日本賛美のTVが、こんなに溢れているのだ…

再婚者・弓浦市/川端康成

表題作の「弓浦市」は、主人公の小説家のもとに、見知らぬ女性が訪れ、かつての弓浦市での思い出語りをする、という短篇である。 女性に見覚えもないうえ、弓浦市などという地名は存在しない、というなんとも薄気味の悪い話である。 この本に収められている…

おつまみ一行レシピ/やまはたのりこ

実はまだ読んでいない。 店頭で買おうか買うまいか、しばらく悩んで買わずに帰った。 しかし、これは買うと思う。 短歌のような1行にレシピがまとめられており、写真も良く、記憶に残った。 おつまみ一行レシピ ~きき酒師がつくる酒の肴136品~ (マイナビ文庫…

オホーツクの古代史/菊池俊彦

北には何かしら魅かれるものがあるようだ。 北海道から連なる千島列島、カムチャッカ半島、樺太、アリューシャン列島、オホーツク海を、子供の頃、地図で眺めていた。 やがて、アルセーニエフの「デルス・ウザーラ」を読み、そこに登場するシベリアの少数民…

忘れられた島々「南洋群島」の現代史/井上亮

子供のころ、東京から遠く離れたミクロネシアの島々を、地図で辿ったりした。 アメリカの信託統治領が何であるかも知らず、太平洋に点在する島々に思いを馳せていた。 この本は日本が進出し、太平洋戦争を引き起こし、そしてアメリカの信託統治となった昭和…

寺山修司青春歌集

ちょっと気恥ずかしいタイトルだが、寺山修司の20代の短歌作品集である。 寺山修司の短歌の叙情は、安っぽくて、ステレオタイプで、大げさな、まるでTVドラマのような世界が、31文字の中に籠められている。 それは、コントラストが強く、ポップな色彩に彩ら…

美しい星/三島由紀夫

ミシマの作品の中でも、異色な作品。 自らを異星人だと信じている一家の物語である。 この物語がイカれているのは、自らを異星人だと信じているのはこの一家だけではない。 それぞれが異星人であるという出自を根拠に、とても人間らしい振る舞いなのだが、地…

奇貨/松浦理英子

久しぶりに訪れたブック○フで偶然に見つける。 チェーン系の古本屋での価格付けは、本の状態と店頭売上高が基準になっているようで、人文、文学の中堅どころとでも言うべき本はかなり格安で手に入れられることがある。 これが本当に好きな人しか買わないよう…

CASA BRUTUS カフェとロースター

つい買ってしまう、コーヒー特集。 あとカレー特集も。 美味いコーヒーというより、カフェという空間が気になる。 Casa BRUTUS(カ-サブル-タス) 2018年4月号 [カフェとロースター] 出版社/メーカー: マガジンハウス 発売日: 2018/03/09 メディア: 雑誌 この…

御馳走帖/内田百閒

先月に突然風邪をひいて寝込んだ際に再読。 2日で読みきれずにようやく読了。 相変わらずの百鬼園先生の語りが、病人には優しかった。 御馳走帖 (中公文庫) 作者: 内田百けん 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1996/09/18 メディア: 文庫 購入: 7人 クリ…

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち/田中圭一

何だか調子が良くない、病気というほどではないと思うんだけど、何もかもがつまらなくなってしまうときがある、という日常が続いていて、ふと久しぶりに行った本屋で見つけた本。 田中圭一のことは、コミックキューなどで目にしていたが、あまり読んだことは…

鍵/谷崎潤一郎

本当は電子書籍版の全集で読んだのだけれど、そのことをいちいち言うのもどうかと思って、これからは気になったものだけ取り上げようかと思う。 「鍵」は何度も映画化もされているから、有名な作品だろう。 読まれないように小細工をしながら、読まれること…

女の人差し指/向田邦子

何だか向田邦子が気になる。 たぶん同年代に近くなった。 向田邦子のエッセイに、親近感のようなものを覚えているような気がする。 何とはないようなことなのだが、それでも読ませる文章だと思う。 内容ではなく(とは言えゼロではないが)書きっぷりで読ま…

発想力獲得食/眉村卓

ジュブナイルではない眉村卓を読んでみたくて借りてみた。 この本は食にまつわるショートショートである。 SFっぽいのもあればそうでないものもある。 どの話もちょっと洒落ていて、ユーモアがある。 もう少し読んでみようかと思った。 発想力獲得食 (双葉文…

マルドゥック・フラグメンツ/ 冲方丁

冲方丁が気になって、もう一冊借りてきた。 この前のはエッセイのようなものだったので、時代小説かSFか。 だがいきなり長編世界に飛び込むのは気が引けたので、短編集に手を出した。 だがこの選択は、結果的には失敗だった。 この本はマルドゥックシリーズ…

人民は弱し 官吏は強し/星新一

この本もまた図書館で借りた。 星新一の父、星一氏の伝記小説である。 面白い?面白いだろうか? 星製薬の盛衰を描いているとも言えるし、星一氏と明治日本官僚の攻防を描いているとも言える。 判官贔屓というと失礼だが手放しに、官僚は腐っている、星氏か…

男どき女どき/向田邦子

この本もまた、図書館で借りた。 歳をとって、向田邦子を読むようになった。 この本で扱われているテーマは、人生の機微のようなものだ。 歳を取ると些細なことにも涙脆くなる。 そんな些細なことに共感する自分がいる。 子供は大きな物語が好きだ。 例えば…