雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

アート

江戸狛犬図鑑/荒勝俊

気になったので借りてみた。 都内を中心に関東近郊も含め、各神社の狛犬の写真集である。 江戸初期から現代までを、大きく4つに分けて分類し、その特徴を解説している。 もともと作者という概念が無く、製作された地方の特徴が出ている江戸時代の狛犬の方が…

ふるさとの手帖/かつお

だいぶ前に買ったのだけれど、一気に読んでしまうのがもったいなくて、ちびちびと読んでいた。 けれど読書というのは、ある程度、まとまった時間をかけないと読んだ気にもならなくて、たかだか数ページ読んで閉じてを繰り返していても、感想も何も生まれない…

デュシャンは語る/マルセル・デュシャン、ピエール・カバンヌ

1960年代に行われたマルセル・デュシャンへのインタビュー本である。 何度か読んでいるが、内容を覚えていないのは、物覚えが悪いからだろう。 ブルトンのシュルレアリスムと距離を持ちながら、網膜的ではない美術を目指すデュシャンもまたシュルレアリスト…

戦争と万博/椹木野衣

とても面白かった。 1970年の大阪万博を起点に、1945年の広島爆心地、そして幻の皇紀2600年万博に言及し、美意識の根底にある「未来」という幻想、そして「環境」という考え、万博と戦争をつなぐ様々な要素を巡っている。 この本を要約するのは難しい。 登場…

戦いの音楽史/みの

気になったので買ってみた。 ミュージシャンであり、Youtuberのみの氏による、20世紀ポップスの概論とでもいう本。 LeadbellyやThe Byrdsが取り上げられていたり、同時期の邦楽の動きがコラムとして挟み込まれていたり、90年代以降のグランジや、音楽フォー…

6Bの鉛筆で書く/五味太郎

子供の絵本で五味太郎氏の名前は知っていたが、エッセイを書いているとは知らなかった。 インタビュー記事を見かけて、それでちょっと興味を惹いた。 読んでみるとなるほど面白い。 良い意味で力の抜けた文章で、すんなり入ってくる。 だが、所々におやっと…

北斎 富嶽三十六景

岩波文庫もビジュアル系に手を出したのか、と思って買ってみた。 残念なことに見開き1枚なので、どうしても真ん中が見えない。 (だったらレプリカを買え、という話かも知れない) 元が元だけに、残念である。 店頭で確認して分かってることなんだけど、やっ…

地獄百景/田中久美子 監修

この本もまた図書館で借りた。 東西の地獄が集められて、さながら地獄のオンパレードである。 まぁ、たいてい人間というのはろくでもないものだから、戒めをしなければ堕落するものなのだろう。 こんなことをしてはいけません、というものがあれば、それをか…

自分じゃない人/佐内正史

一時期、写真に凝っていた。 休みの日に時間があれば、ぶらぶらと街を歩いて、写真を撮っていた。 ちょうどトイカメラのちょっとしたブームで、Lomo LC-Aも持っていたし、Olympus PENは何台も使っていた。(今も持っている) 別に何かテーマがあったわけでも…

ダダ 前衛芸術の誕生/マルク・ダシー

ダダは何となく通過した。 トリスタン・ツァラ、ハンス・アルプ、クルト・シュビッタース、フランシス・ピカビアといった名前ぐらいは知っている。 だが、あまり興味を引かなかった。 とは言え、若き日の赤瀬川原平が活動していたハイレッドセンターのネオ・…

キュレーション 知と感性を揺さぶる力/長谷川祐子

この本もまた図書館で借りた。 キュレーション(もしくは、キュレーター)という言葉を知ったのは、90年代だったろうか。 或いは、村上隆や奈良美智を知った頃、いやそれも90年代だったはずだ。 ともあれ、現代美術においてキュレーションは切っても切れない…

熊野的領域/木崎武尊

30代の前半の頃、熊野にはまった。 中上健次の描く熊野がその導入だったとしても、見聞きし、感じたのは全く異なる。 そして、熊野古道に代表される観光とも異なっている。 その経験を語ることを良しとはしないのだけれど、熊野的な空間をあれから他に見出せ…

使うハーフサイズカメラ/飯田鉄

何となく寝ながら頁をめっくていた。 本を読みたくないのか、読みたいのか良くわからない。 ハーフサイズカメラは今でも使っている。 とは言っても、旅行先で電池の心配の要らないOLYMPUS PEN EE-2が、専ら出番が多い。 本当はオリジナルのPENで綺麗に撮りた…

正体不明/赤瀬川原平

本棚を片付けていて、何気なく手にとって見入ってしまった。 赤瀬川原平氏の写真は、アマチュアとプロの間で、芸術と超芸術の間にあるようだ。 いわゆる散歩写真とも言えるのだけれど、そうとも言い切れない何かが写っている。 トマソン物件だけでない、芸術…

夢を見た/ジョナサン・ボロフスキー

ボロフスキーについて、どう説明すればいいのか。 例えばこうだ。 1980年代に日本に於いて良く知られたアメリカの現代アート作家。 どうもしっくりこない。 興味をもった人は、ネットで検索するだろうし、知っている人は今更だろうから、とりあえず割愛しよ…

アノニマスケイプ こんにちは二十世紀/細川文昌

とても静かで恐ろしい本だと思った。 行旅死亡人とは、行き倒れて亡くなった方である。 明治32年に公布された「行旅病人及行旅死亡人取扱法」によって、手続等が定められている。 市区町村や公共団体が救護し、亡くなられた際は埋葬し、その費用を家族等に請…

模倣と創造/池田満寿夫

池田満寿夫氏の作品について、何か語れるほど知っているわけでもない。 子供の頃のおぼろげな記憶では、モジャモジャ頭の芸術家だ。 版画や映画、そして小説を手がけていたと思う。 「エーゲ海に捧ぐ」や「窓からローマが見える」はどんな話だったろうか。 …

飛ぶ紙/ベルナール・フォコン

ベルナール・フォコンはフランスの写真家だ。 日本版Wikiに登録されていないようなので、この本の帯に書かれているところから、抜粋しよう。 1950年南仏プロヴァンス地方のアプトに生まれ、「幼年時代を太陽と青い空とラヴェンダー畑の中で」過ごしたらしい…

踏みはずす美術史 私がモナ・リザになったわけ/森村泰昌

森村泰昌氏は自らが仮装し名画になるポートレイトを作成する美術家である。 当初、シミュレーショニズムとも称されていたような気がする。 この本は、森村氏の自己解説であり、現代美術に関する森村氏の解説でもある。 まず、「モナ・リザ」に扮するための分…

芸術起業論/村上隆

これもまた図書館で借りた本。 この本では、アートをビジネスとして成立させるためにどうしたのか、ということを村上隆、自らが語っている。 極論で纏めると、売れないアートはアートではなく、ただの趣味であり、アートで生きてゆくためには、売れるため戦…

Slash with a Knife/奈良美智

目線の先にSlash with a Knife作者: 奈良美智出版社/メーカー: リトルモア発売日: 1998/12メディア: ペーパーバック購入: 3人 クリック: 23回この商品を含むブログ (3件) を見る 奈良美智を知ったのは1990年代の初め頃だったろうか。 背景も無い大画面に、に…

Summon Monsters? Open The Door? Heal? Or Die? - 召喚するかドアを開けるか回復するか全滅するか/村上隆

キャラクターの強度Summon Monsters? Open The Door? Heal? Or Die? - 召喚するかドアを開けるか回復するか全滅するか作者: 村上隆出版社/メーカー: カイカイキキ発売日: 2001/10/10メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 23回この商品を含むブログ (…

明るい部屋―写真についての覚書/ロラン・バルト

ストゥディウムとプンクトゥム明るい部屋―写真についての覚書作者: ロランバルト,Roland Barthes,花輪光出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1997/06メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 95回この商品を含むブログ (131件) を見る 写真についてバルトが考察…

日本の伝統/岡本太郎

日本の伝統 (知恵の森文庫)作者: 岡本太郎出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/05/10メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 75回この商品を含むブログ (35件) を見る 岡本太郎の目に、「伝統」と言われるものがどう映ったのかが判る。 従って、この本で悪戦苦…

ぼくの哲学/アンディ・ウォーホル

表層、または、Bぼくの哲学作者: アンディウォーホル,Andy Warhol,落石八月月出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1998/08メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 40回この商品を含むブログ (27件) を見る 哲学というほどの哲学は無い。 だが、ウォーホルが目指し…

ニライカナイ/藤井保

いつか夢で見た風景がそこにあるのだとしたらニライカナイ―藤井保写真集作者: 藤井保出版社/メーカー: リトルモア発売日: 1999/09メディア: 大型本 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る いつの頃からかあまり夢を見なくなった。それまでつけてい…

岡本太郎の沖縄/岡本太郎、岡本敏子

永遠の一瞬岡本太郎の沖縄作者: 岡本太郎,岡本敏子出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 2000/07メディア: 大型本 クリック: 12回この商品を含むブログ (13件) を見る 岡本太郎が沖縄を取材した時の写真を集めている。 岡本太郎が何を見て何を感じたの…

トマソン大図鑑〈空の巻〉/赤瀬川原平

すぎたるはトマソン大図鑑〈空の巻〉 (ちくま文庫)作者: 赤瀬川原平出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1996/12メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 14回この商品を含むブログ (18件) を見る 「無の巻」の感想でトマソンは消えたと書いたが、そうではない。 ト…

トマソン大図鑑〈無の巻〉/赤瀬川原平

不意に現れてトマソン大図鑑〈無の巻〉 (ちくま文庫)作者: 赤瀬川原平出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1996/12メディア: 文庫 クリック: 10回この商品を含むブログ (17件) を見る 「トマソン」は、もう忘れ去られてしまっただろうか? ここに纏められてい…

銭湯読本―The New Life With SENTO

遠い記憶・甘酸っぱさ・そしてその後・忘れること・忘れ去られること銭湯読本―The New Life With SENTO作者: 町田忍,Sento Style推進委員会出版社/メーカー: アーティストハウスパブリッシャーズ発売日: 2002/11メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含…