雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

文系

14歳からの哲学 考えるための教科書/池田晶子

この本もまた図書館で借りた。 自分が14歳だった頃に、この本があったとしたら、手に取って読んだかというとそうは思わない。 池田晶子という名前は、どこかで聞いたことはあった様な気がするが、読んだのは初めてだ。 この本は平易な言葉で書かれてはいるが…

三万年の死の教え/中沢新一

死について考えるようになったのは、十代の後半だったろうか。 ありふれた思春期の考えるふりから、始まったのだと思う。 といっても、自殺や殺人を妄想するようなことではない。 その辺りの健全さ、裏返すと、優等生的な発想から逸脱できないのは、あらかじ…

コロンブスからカストロまで カリブ海域史、1492−1969/エリック・ウィリアム

この本もまた図書館で借りた。 こちらの記事に触発されて、読んでみた。 高校の世界史の不勉強が祟って、あまり理解出来ているとは言い難いが、大航海時代におけるスペインとポルトガル、その覇権に挑戦するフランス、イギリス、ドイツ、そしてアメリカの台…

エピクロス 教説と手紙

久しぶりに取り出してみた。 エピクロスといえばエピキュリアンの元祖であり、日本語で言えば快楽主義というのは、大いなる誤解だ。 エピクロス自身は自然哲学者の流れであり、その快楽主義は積極的な快楽の追求という意味よりは、害を避けてアタラクシアの…

グローバリゼーションの中の江戸/田中優子

この本もまた図書館で借りた。 やけに平易な言葉で書かれていると思って、よくよく見たら、岩波ジュニア新書だった。 江戸時代における諸外国との交流を、服装、食器、視覚といった点から考察し、一般的に「鎖国」と言われる状態ではなかったことを考察して…

イェルサレムのアイヒマン/ハンナ・アーレント

この本もまた図書館で借りた。 最近、図書館や本屋の「アンネの日記」が破られる事件があったが、その事とこの本を読む動機とは関係が無い。 恐らくどこかのブログで、この本の書評を見かけたような気もするが、もう憶えていない。 そもそも、ナチスドイツの…

悲劇の誕生/フリードリッヒ・ニーチェ

ニーチェを読み返すのは久しぶりだ。 この本で古代ギリシアにおける、アポロ的なるものとディオニュソス的なるものの対立を論及していたと記憶していた。 読み返してみると、ギリシア悲劇における没落と喜劇への転換点をエウリーピデースに見出している。 そ…

時間と自己/木村敏

この本を読んだのは、いつのことだったのか、もう憶えていない。 ともあれ、自分のことが気になってしようがない、10代後半の頃にちがいない。 この本は、精神医学の観点からの時間論であり、意識論であろう。 時間という存在を、もの的に捉えることから、こ…

異郷の昭和文学/川村湊

この本もまた、図書館で借りた。 川村湊氏は、以前に「満洲鉄道まぼろし旅行」を読んだぐらいなのだが、この本もまた満洲がテーマである。 言うまでもないが、満州国に対するノスタルジーや賛美という論調ではない。 昭和時代の文学史において満洲という存在…

漢字/白川静

懸賞で貰ったQUOカードが余っていたので、買ってみた。 2014年にはじめて買う本が白川静氏となり、ちょっと幸先が良さそうだ。 何の根拠もないが。 さて、この本の内容はというと、白川漢字学のエッセンスである。 岩波新書という、ある種のフォーマットの中…

福島第一原発観光地化計画

正月に読む本としては、いささか重たいテーマなのだが、だいぶ前に買っていて、通勤中に読めないものだから、ちまちま読んでいるうちに、たまたま読み終えたのが今日だったというだけである。 この本は、ダークツーリズムをその主題としており、原発に対する…

栗本慎一郎の全世界史 経済人類学が導いた生命論としての歴史/栗本慎一郎

気になったので、図書館で借りてみた。 あとがきによれば、この本は最後の著作だという。 内容を乱暴に要約すると、南シベリアを基点とするシュメール人によってもたらされた文明という病に侵された、世界史の概略といったところだろうか。 この場合の文明と…

往生要集/源信

クリスマス・イブに仏教の文献を読み終えるのも、そこに意図は無いのだけれど、何かの縁だろうか。 往生要集を知ったのは、方丈記の部屋の設えの中に以下のように登場するからだ。 西南に竹のつり棚を構へて、黒き皮籠三合を置けり。 すなはち和歌、管弦、往…

パンツをはいたサル/栗本慎一郎

ふと読み返したくなり、図書館で借りてみた。 軽妙な語り口の本で、ほぼ1日にて読了できた。 栗本慎一郎氏の著作は、偉大なるワンパターンのように、カール・ポラニー流の経済人類学理論が援用される。 この本もまた、経済人類学の入門書であり、「幻想とし…

白川静 漢字の世界観/松岡正剛

松岡正剛氏による白川漢字学の入門書である。 今更ながらに、白川静氏の著書が、最近気になっている。 漢字に籠められている、古代中国の呪術的世界を明らかにしていく白川漢字学に痺れてしまう。 今まで習ってきた漢字の知識は何だったのか、と思ってしまう…

禅とは何か/鈴木大拙

表題の通り、「禅」の解説なのだが、あまり理解できていないような気がする。 もともと宗教としての仏教に与するつもりはない。 禅宗という仏教の一流派に対して、何か惹かれるものはあるのだけれど、悟り澄ましてわかったふりをするなんて愚の骨頂だろう。 …

自省録/マルクス=アウレーリウス

前にも読んだが、気になって買い直して、読み返してみた。 だが、どうにも違和感がある。 沈思黙考し、死を想い、何物にも心を乱されない境地に至れ、と言っているようなのだ。 が、そのように生活できるのは、限られた境遇の人々なのではないだろうか。 も…

生きていくことの意味/諸富祥彦

仕事帰りにふらっと図書館に寄って何となく借りてみたうちの一冊。 この本はトランスパーソナル心理学をベースにしたカウンセリングの導入のような本である。 いくつか、ワークの簡単な紹介もされている。 何をか言わんや(いや何も言うまい) 生きていくこ…

カフカ マイナー文学のために/ドゥルーズ=ガタリ

なんて読みにくい本なんだろう、というのが、まず感想である。 ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリの共著のうち、短いほうなのだと思うが、読みにくい本だ。 決して難解なのではないだろう。 カフカの作品を精神分析にかけて、テクストをネタに、マイナ…

君主論/ニッコロ・マキアヴェリ

読み返したのは、高校生以来だろうか。 世間が選挙で騒がしかったので、つい手にとってしまった。 つまり、その動機はこうだ。 マキャヴェリズムを裏返して、ポピュリズムに迎合する政治的状況を考えようと思った。 この「君主論」は、上手く統治するための…

ラッセル幸福論/バートランド・ラッセル

ラッセルを知ったのは、高校の英語の副読本。 他にも、ディケンズの「デビッド・コパフィールド」や、ホワイトヘッドなんかを教材に使ってたのは、大学になってから改めて驚いた。 教材は良くても、語学力はちっとも身に付かなかった。 バートランド・ラッセ…

チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド/東浩紀、津田大介、開沼博、速水健朗、井出明、 新津保建秀

会社帰りに衝動買いをした。 東浩紀氏の著作を読むのは、笠井潔氏との往復書簡以来である。 一般的な話として、こういった本を手に取るということは、原発反対という態度に繋がるように見えるかもしれない。 だがこの本は、反対の立場で書かれている本ではな…

「いき」の構造/九鬼周造

ちょっと前に、青空文庫で読み終わっていた。 「いき」とは何か、を考察した本である。 そんなのは無粋だというおちょくりは置いておいて、こういった「日本的なるもの」を解説するのは、どこを目指しているんだろうと思う。 世界の異文化に向けて発信するも…

ランスの大聖堂/ジョルジュ・バタイユ

バタイユの最初期の文章を集めた本。 ランスの大聖堂に対して、まだキリスト教を棄教していないバタイユの、ファナティックな礼賛は何だろう。 そこには私の理解しきれない何かがあって、それは存在の根本に関わるものであるような気がする。 バタイユの語る…

8.15と3.11 戦後史の死角/笠井潔

久しぶりに読んだ笠井潔は相変わらずだなと思った。 何が相変わらずなのかというと、日本に対する憎悪と世界同時革命の夢である。 この本は、終戦に至る日本軍と、福島原発事故における政府の意思決定のあり方を並べ、そこに日本的なるものを見いだし、批判…

佃に渡しがあった/尾崎一郎、ジョルダン・サンド、森まゆみ

かつて佃島へは渡しに乗って行ったのだそうだ。 私が生まれる数年前に、その渡しは廃止になったらしい。 佃島という場所は、もともと漁師町であった。 その漁師町としての景色が、尾崎一郎氏の写真によって収められている。 東京のほぼ中心に位置しながら、…

2011 危うく夢見た一年/スラヴォイ・ジジェック

2011年がどんな年だったのかを個人的に考えることとは別だ。 しかし、世界情勢で言えば「アラブの春」「ヨーロッパ危機」といったキーワードで語られる年なのだろう。 それらを楽観的に民主化の波や、資本主義の限界と片付けてしまうとしたら、既に思考が停…

人柱の話/南方熊楠

少し電子ブックにはまっているようだ。 やはり、スマホで手軽に読めるのは良い。 逆に、電池が切れると読めなくなるのはいまひとつ。 なので、電子ブックリーダーが欲しくなる。 だったら、タブレットで良いんじゃないかとも思う。 ともあれ、南方熊楠を読ん…

最暗黒の東京/松原岩五郎

ちょっと気になっていたので図書館で借りてみた。 明治時代の東京の貧民窟、つまりスラム街に入り込んでルポルタージュした本である。 当時の三大貧民窟が、下谷万年町(今の上野駅から鶯谷に向かった東側の一角)、四ツ谷鮫ヶ橋(信濃町と四ツ谷の間、赤坂…

ルイ・ボナパルトのブリュメール十八日/カール・マルクス

いまさらマルクスだと?フランス革命だと?お前はどこぞの左翼気取りの学生か、と、アナクロニズムの甚だしいのにも程があるぞ、と、いまどき赤旗の勧誘員だってこんな本は手に取らないんじゃないか、と。 とは言え、以前から何か惹かれるものがあるので買っ…