雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

山の湯雑記/折口信夫

これもまた電子書籍。 自詠の和歌と、山村の温泉の随筆を、交互に構成した作品。 東北のようなのだが、どれも行ったことがない。 いつか行けるだろうか。 言葉少なめな随筆であるだけに、ちょっと行ってみたい感じもする。 山の湯雑記 作者: 折口信夫 発売日…

酒に呑まれた頭/吉田健一

とにかく食べる話と、呑む話と、旅の話だ。 他愛も無い話といえばそうなのだが、それ以上の話題って何かあるのか、とでも言いたそうだ 。 他人様の色恋話を聞かされるよりは、酒の話をしてた方が良い、という境地かもしれない。 判るような判らないような。 …

転がる香港に苔は生えない/星野博美

香港が騒がしい。 民主化要求デモが衝突騒動にまで発展している。 そんなニュースを聞いて、この本をもう一度読み返してみようと思った。 この本は、中国返還前後の星野博美によるルポルタージュだ。 とはいえ、政治的な意図があるのではなく、自分の皮膚で…

もし僕らのことばがウィスキーであったなら/村上春樹

ひどくくたびれている自分に対していったい何ができるのかを考えている。 この本は村上春樹によるアイラ島とアイルランド紀行である。 ウィスキーの蒸留所やパブを巡る姿は羨ましい。 ささやかなこの本を読むうちに、そういえば自分のための酒を飲んでいない…

血と薔薇のフォークロア/栗本慎一郎、中村英良

この本は栗本慎一郎によるブダペスト、トランシルバニア紀行である。 1980年代初頭のハンガリー、ルーマニアなので、まだ自由化されてはいない。 建築に施されたアール・ヌーヴォー様式と諸民族の歴史を振り返りつつ、時折、自説やカール・ポラニーの言説を…

男なら、ひとり旅。/布施克彦

この本もまた図書館で借りた。 ひとり旅というのは楽しくなく、その前後が楽しいのだ、という著者の意見は、言い得て妙だ。 中高年向けの軽いエッセイではあるが、共感できる部分は多い。 同じ顔ぶれで旅行をしていてもやがて飽きるとか、外国に定住するのは…

ブッダ最後の旅 大パリニッパーナ経

自分のパーソナリティとして宗教的要素が皆無であるが故、仏経典をどのように読めばいいのか、まだ自分の中で定まっていない。 だから、一字一句を「教え」として受け止めることもできないし、それらに対して批判的な立場を取ることもできない。 できるとす…

マレー蘭印紀行/金子光晴

昭和初期の東南アジア。 金子光晴は日本を脱出し東南アジアを放浪し、やがてパリに行き着く。 「どくろ杯」「西ひがし」「ねむれ巴里」での旅の記憶より、この本に描かれる南国の風景は、生活の匂いがする。 日本人、中国人、マレー人、インド人、様々な民族…

ぢるぢる旅行記/ねこぢる

熱を出して寝込んだので、いくつか本を読みまくっていた中の一冊。 ねこぢるは90年代に活躍し、自殺してしまった漫画家である。 一時、気に入って買い漁っていたが、最近はあまり読んでいない。 ねこぢるの作品の中でも、この本は読みやすい方だろう。 旦那…

芝生の復讐/リチャード・ブローティガン

出張に持っていく本をさんざん悩んだ挙句、この本を持っていった。 だが、出張というものを甘く見ていたのか、あるいはこの本の特性を見極め切れていなかったのか、原因はどちらか判らないが、あまりぴったりと言う気がしなかった。 おもに読んだのは、飛行…

女流阿房列車/酒井順子

図書館で借りてみた。 著者のことは全く知らない。 「阿房列車」というタイトルに惹かれただけのことだ。 だが、読んでみると、これがなかなかに面白い。 軽くさらりと読み流せる。 自称の乗り鉄のようだが、車中で爆睡していたり、うんざりしていたり、何だ…

アノニマスケイプ こんにちは二十世紀/細川文昌

とても静かで恐ろしい本だと思った。 行旅死亡人とは、行き倒れて亡くなった方である。 明治32年に公布された「行旅病人及行旅死亡人取扱法」によって、手続等が定められている。 市区町村や公共団体が救護し、亡くなられた際は埋葬し、その費用を家族等に請…

ソングライン/ブルース・チャトウィン

何となくチャトウィンが気になったので、図書館で借りてみた。 とても不思議な本だ。 ノンフィクションのようなのだが、フィクションのようでもあり、ある種の哲学書のようなものにも思える。 アボリジニたちの土地と移動と歌に始まり、人類進化の過程におけ…

和英対照仏教聖典 / The Teaching of Buddha

こういう記事を書くと、誤解されそうだなとは思うが、誤解をされたところで何の毒にも薬にもならないから書いてしまおうかと思う。 旅行先のホテルにある聖書と仏教聖典は、つい読んでしまう。 基本的には宗教的な素質や素養が無いのだが、それでもぱらぱら…

どうして僕はこんなところに/ブルース・チャトウィン

以前にも読んだのだけれど、もう一度読んでみようかと思い立ち、そういえば角川文庫に入ったよなと思い出して探してみた。 しかしそう思っても、そう簡単には手に入らない。 時々思うのだけれど、気になった本は、気になった時に、買ってしまった方が良いと…

十六夜日記/阿佛尼

旅行中に読んでみた。 阿佛尼が京都から鎌倉に至る「道の記」、鎌倉滞在中の京都との遣り取りの「東日記」、そして「長歌」から成っている。 併せて、「阿佛仮名諷誦」「阿佛東くだり」が収められている。 結構、急ぎ足の旅のようで、夜に泊まるところが云々…

江戸アルキ帖/杉浦日向子

ふと、杉浦日向子女史の江戸モノが読み返したくなった。 自分の中での江戸ブームが続いているのかもしれない。 タイムトラベルして、江戸の街を散策し、そのスケッチと文章をまとめた、という体裁の本である。 一口に江戸時代といっても、200年もあるわけだ…

詩本草/柏木如亭

自分の中でどうした訳だか、江戸文学ブームが来ている。 柏木如亭は文政期の漢詩人である。 この本は様々な食べ物と、それにまつわる旅の思い出を書き記した随筆とでも言えよう。 短い文章の中にちらちらと見える食道楽っぷりと、寄る辺の無さそうな旅の思い…

鬼貫句選・独ごと/上嶋鬼貫

本との出会いとは不思議なものだと思う。 今まで鬼貫という俳人の名前すら知らなかったのだけれど、この本を読んで気に入ってしまった。 上嶋鬼貫は、1661年に現在の大阪府伊丹市に生まれ、1738年に亡くなった、江戸時代の俳人だそうだ。 東の芭蕉、西の鬼貫…

モーターサイクル・ダイアリーズ/エルネスト・チェ・ゲバラ

若き日のゲバラが、アルゼンチンからバイクで南米大陸を北上し、チリ、ペルー、コロンビア、ベネズエラへと至る旅の記録である。 バイクにアルベルト・グラナードと2ケツで出発するのだが、バイクは故障し、廃車に追い込まれ、やがてヒッチハイクで旅を続け…

アポロの杯/三島由紀夫

三島由紀夫を読んだ時に感じるこの距離感は、どこからやってくるのか。 それは、古典足り得るほどに時間が経過していないにも拘らず、同時代的であると言うほどには近くも無いと言うことだけではなく、三島由紀夫が拠っていた何かが、今ここで読んでいる自分…

デルスー・ウザーラ/ウラジーミル・アルセーニエフ

デルスー・ウザーラの名前を知ったのは、黒澤明のフィルモグラフィーだ。 だが、映像作家としての黒澤明は凄いなと思うが、映画監督としてヒューマニズムをテーマに持ってくるので、食指を動かす気は起きなかった。 次に東洋文庫にその名前を見つけたのだけ…

東方見聞録/マルコ・ポーロ

マルコ・ポーロの名前は知っていても、そして、ヨーロッパに「ジパング」の存在を知らしめた本人であるということを知っていても、実際にその著書に触れていなかった。 なので、ひとつ読んでみようと思い立ち、図書館で借りることにした。 ここに描かれてい…

モンゴル大紀行/開高健、高橋昇

初めて開高健を読むのだけれど、どうやらドキュメンタリー番組を本にしたものらしい。 何と言うか、入り方が邪道で、つくづく王道から縁遠いのは、自分の性格だろうか。 ともあれ、モンゴルにチンギス・ハーンの墓陵を調査し、120cm超のイトウを釣りに行く。…

ヨーロッパの乳房/澁澤龍彦

澁澤龍彦の本は処分してしまうのだけれど、この一冊が気になったので、ちょっと読んでみた。 その人にとっての旅が何であるか、その問いもまたその人をよく表す一面なのではないかと思う。 澁澤龍彦にとっての旅とは、再確認であるかのようだ。 恐らく旅行中…

どくろ杯/金子光晴

ちょっと気になって確認したら、「どくろ杯」について感想を書いていなかったようなので、読み返してみる。 改めて言うまでも無いだろうが、金子光晴の自伝三部作の第一作目である。 関東大震災後の東京で、若者たちはアナーキズムかコミュニズムにかぶれ、…

東京の島/斎藤潤

たしか記憶では、東京都の小学校の社会科の授業は、3年生で区、4年生で都、5年生で日本、6年生で世界を習ったのだと思う。 なので、東京都の島嶼部を知ったのは、恐らく小学校4年生の頃だったのではなかろうか。 叔父さんから貰った道路地図では、伊豆七島ぐ…

第三阿房列車/内田百けん

何となく落ち着かなくて、気忙しい毎日が続くと、百鬼園先生に手が伸びてしまう。 一気に読んでしまうのが惜しくて、未読で取っておいた阿房列車シリーズの三巻目である。 内容はもう今更説明する必要も無いのだが、目的もなく旅に出る随筆、とでも言ってお…

第二阿房列車/内田百けん

何となく気持ちがささくれ立っているようなので、百鬼園先生の本を読む。 この本は阿房列車シリーズの2冊目である。 目的もなく列車に乗り、観光するでもなく帰ってくる。 第一にも増して、百鬼園先生はヒマラヤ山系君と、飄々とあちこちに出かける。 ふざ…

諸國畸人傳/石川淳

もし、石川淳を知らないなら、この本は読まない方が良いだろう。 石川淳は知らないが、取り上げられる人々に興味があったとしても、読まない方が良いだろう。 この本は、小林如泥、算所の熊九郎、駿府の安鶴、都々一坊扇歌、細谷風翁、井月、鈴木牧之、阿波…