雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

リバーズ・エッジ/岡崎京子


水辺の寓意と時代の気分

リバーズ・エッジ (Wonderland comics)

リバーズ・エッジ (Wonderland comics)


久しぶりに読み返してみると、この物語の終わりには、どこにも出口はないのだった。
センチメンタルで、ポップで、ちょっとエロで、ちょっと倒錯していて、残酷で、死が転がっていて、だがこれは物語に過ぎなくて、現実はもっと過酷なのを隠している。
死は救いでもなく、畏怖すべきものでもなく、日常に溶け込んでいる。
無意識の象徴としての水、肉体への嫌悪、草叢のアレゴリー、そんなテーマも展開できそうだが、そんなことよりもこの物語が表している気分の方が重要な気がする。
主人公はどんな大人になり、どんな子供を育てるのか、もはやそれも昔話になりつつある感じがする。