雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

蛍・納屋を焼く・そのほかの短編/村上春樹


昏い叙情

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)


挟まっていたレシートを見ると大学時代に買ったようだ。幾つかは他の作品のの下敷きになっている。読み返してみると、これらの短編は今ひとつ完成していないように思う。完成していることが作品の魅力の全てかというとそうではないが、何かしらの不完全燃焼感が残ってしまうのも事実だ。それは作家自身が短編をどう捉えているかによるような気がするが、一方で、他の作品が無い状態とある状態では違うような気もする。また、この本自体で考えてみた場合、あまりに死を安直に語りすぎているような気がする。それは主題ではないからなのかもしれないが、ちょっとした違和感を覚える。ただの違和感なのだが、たぶん根本的に受け容れられない相違のような予感もする。