雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

百日紅(上)/杉浦日向子


散れば咲き、咲いては散る

百日紅 (上) (ちくま文庫)

百日紅 (上) (ちくま文庫)


夏に咲く花の一つに百日紅があるので、引っ張り出して読んでみた。北斎と娘とその弟子たちのエピソードが語られる。そこにあるのは、あっけらかんとしたパーソナリティとも見えるが、杉浦日向子が登場人物たちに託したのは何だろうと考える。ここにある物語はむしろ小話に近いような、そんな感じがする。
すっぽんを食べる話、人斬りの話、浮世絵のオリジナリティの話、あの世からのお迎えの話、龍を描く話、小説でも描かれそうで描けそうに無い表現がここにはあると思う。『百日紅』としたタイトルは北斎を表しつつ、杉浦日向子自身も表しているように思う。
読んだ当初もそうだったが、山盛りの鰻の蒲焼が食いたくなる。