散れば咲き、咲いては散る
- 作者: 杉浦日向子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1996/12
- メディア: 文庫
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夏に咲く花の一つに百日紅があるので、引っ張り出して読んでみた。北斎と娘とその弟子たちのエピソードが語られる。そこにあるのは、あっけらかんとしたパーソナリティとも見えるが、杉浦日向子が登場人物たちに託したのは何だろうと考える。ここにある物語はむしろ小話に近いような、そんな感じがする。
すっぽんを食べる話、人斬りの話、浮世絵のオリジナリティの話、あの世からのお迎えの話、龍を描く話、小説でも描かれそうで描けそうに無い表現がここにはあると思う。『百日紅』としたタイトルは北斎を表しつつ、杉浦日向子自身も表しているように思う。
読んだ当初もそうだったが、山盛りの鰻の蒲焼が食いたくなる。