雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

百頭女/マックス・エルンスト


想像できないものを想像する

百頭女 (河出文庫)

百頭女 (河出文庫)


最初にこれを見たときに、エルンストが文庫で手に入るとは、想像すら出来なかった。シュルレアリスムの歴史の中で、エルンストはあまりに有名で、この本はその代表作として知られているが、その内容は分かり難く、で?どんな内容?と聞かれても上手く答えることは出来ない。読んで感じるしかないものが、この作品なのだと思う。様々な本の挿絵から採られた人物、風景のコラージュであり、それが明示されないストーリーに従って延々と続く、と説明してみようか?しかしそんな説明は、この本の本質ではない。様々な人物が出てくる中で、「怪鳥ロプロプ」は、その後のエルンストの作品にも描かれる重要なモチーフであるが、そんなことよりも、やはりコラージュを延々とめくっていくほうが楽しい。エルンストは何を想像したのだろうか?ここにあるは、予期せぬ具象の出会いによる新たなイメージの創出に他ならなく、まさにシュルレアリスムの体現なのだと思う。


百頭女 (1974年)

百頭女 (1974年)

持っているのはハードカバー