雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

銭豚/ジョージ秋山


越えられない

銭豚 (傑作未刊行作品集 (001))

銭豚 (傑作未刊行作品集 (001))


銭ゲバ」の主人公「蒲郡風太郎」のアナザーストーリーなのだが、救いようが無い。
この本の主人公である蒲郡風太郎の愛人は、絶望し、期待し、裏切られ、と次々に悲惨な目にあってゆく。
マルキ・ド・サドほどの徹底した良識へのアンチではないが、「結局、世の中は金と若い女じゃねえのか?」という主人公の認識は強化されてゆく。
それでも「愛」を信じたい気持ちとの間で、主人公は揺れるのだが、裏切られる。
銭ゲバ」の主人公も愛を信じたい気持ちが裏切られ、金しか信用しないという逆説的な生き方になるのだが、この「銭豚」は「裏切った奴らとはお前らのことだ」という告発なのだと思う。
だが、それは誰にも否定できないような気がする