架空の旅行
- 作者: 杉浦日向子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1989/04/28
- メディア: 文庫
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日記風に江戸時代を散歩したという架空の旅行記とでも言えるか?
杉浦日向子の描く江戸時代は、フィクションとノンフィクションの違いが何かは置いておいても、ある種のリアリティと虚構が交じり合ったひとつの世界を作り上げている。
綿密な時代考証に裏打ちされたホラ話に近いようなもの、かも知れない。
時間旅行し江戸の町を散歩し、日記風につづっていくというこの本は、ある種の架空の旅行記のように思える。
そこにあるのは、現在への警鐘だろうか?
それとも、失われたものだけを愛しむ退廃趣味だろうか?
そうではない、江戸時代を現在と地続きの世界として捉えるだけでない、ある種のユートピアについての物語として楽しむべき世界が描かれているような気がする。