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雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

失踪日記/吾妻ひでお


そしてそれはかえってきた

失踪日記

失踪日記


久しぶりに本屋で見かけた吾妻ひでおはこの本だった。
1970年代にギャグ漫画家としての吾妻ひでおを知り、1980年代に不条理系のディープな吾妻ひでおにはまった者としては、ちょっと微妙な思いがする。
あの頃の、不条理かつSFテイストのマンガの裏にある危うさは、こんな形で進行していたのか、と思った。
この本に描かれていることは、おそらく実話だろう。
だがそれをただの打ち明け話として描くのではなく、ある種、ギャグマンガとして描いているところが、吾妻ひでおのすごい所だと思う。
そして、この本から得られることなど無い。
ホームレス生活や、配管工としての生活、アル中としての生活、それらの体験が、ギャグとして描かれているのであって、生活の知恵でもなければ、何かを告発しているのでもない。
その作品に対するスタンスは、1970年代後半から1980年代のSFテイストのマンガもそうなのだ。
SFとして描くのではなく、SFをパロディとして描いているのだ。
だが、それがどこかで破綻しかけている危うさが、1980年代後半の不条理系のマンガに滲み出ていたのだ。
久しぶりに昔の吾妻ひでおを読み返してみるのも良いかもしれない。