雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

マイ・ロスト・シティー/フランシス・スコット・フィッツジェラルド


喪失とか絶望とか虚無とか

マイ・ロスト・シティー (村上春樹翻訳ライブラリー)

マイ・ロスト・シティー (村上春樹翻訳ライブラリー)


最初に読んだのは中公文庫版で高校生の頃だったと思う。
改めて読み返すと、これはフィッツジェラルドの短編集ではなく、村上春樹の翻訳小説集、という感じがする。
良くも悪くも日本語における村上春樹カラーが強く、英語におけるフィッツジェラルド・カラーに上塗りされているというか、色付きのセロファンを通して見ているというか。
小説としての、モチーフだったり、筋の運び方とか、それはフィッツジェラルドなのだと思うが、言葉の端々が村上春樹カラーなのだと思う。
だからいまいちだ、と言っているのではない。
これらの小説のテーマに流れる喪失感だとかやり切れなさは、フィッツジェラルドなのだろうと思う一方、そういう小説を選んでいる村上春樹が存在しているのだろう。
この1冊でフィッツジェラルドを語れるわけでもない。
悪くは無いのだが…