雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

虚空/埴谷雄高


ぷふい、あっは

虚空

虚空


埴谷雄高と言えば「死霊」だが、いつまで経っても未完だったので、この短編集を手始めに読んだのだった。
作品自体はWW?以前から、直後ぐらいまでに発表されたものだ。
本人も書いているが、「意識」「虚空」「深淵」がこの作品集のメインである。
埴谷雄高について書けることは少ない。
なぜなら作品それ自体が完結しているのであり、それに何かを付け加えることもできなければ、要約することすらできない。
独特の語調と語り口で、眩暈のするような文体に引き込まれていく主題は、意識の流れであり、意識の実験である。
脳内の世界が無限大に広がって行き、この宇宙をも取り込んでしまうような、そんな小説たちなのだ。