雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

日本の不思議な宿/巌谷国士


記憶のなかの

日本の不思議な宿

日本の不思議な宿


ここに出てくる宿が、どれぐらい有名なのかは知らない。
著者の記憶、文学作品からのつながり、町の歴史、そういった広い意味での「記憶」と「デジャ・ヴュ」をめぐる旅行記とでも言おうか。
買った当初は、さらっと読み流すつもりだったのが、引き込まれた記憶があった。
読み返してみると、やはり読み流すつもりだったのに、引き込まれてしまった。
読んでく中で、ふと、昔何度か訪れた宿のことを思い出した。
一人でバイクであちこち行ってた頃、那智勝浦には何度か行った。
初めて行ったときは、出発も遅くて道も慣れていなかったので、津で一泊し、2日がかりで到着した。
予約もしないで出かけた旅だから、津では行き当たりばったりに旅館に交渉し何軒も断られたので、那智勝浦では案内所で紹介してもらった宿が、「海のホテル 一の滝」だった。
沈む夕日を眺めながら、大浴場の茶色い温泉に浸かっていたら、疲れが癒されていくとともに、ずいぶん遠くまで来たなという実感が涌いてきたのを覚えている。
この本を読むとそういった、記憶の中の宿が蘇ってくるようだ。
そして、「海のホテル 一の滝」の大浴場を再び訪れたくなったのだった。


日本の不思議な宿 (中公文庫)

日本の不思議な宿 (中公文庫)

文庫にもなっているようだ