雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

日和下駄/永井荷風


失われているからこそ残されているものの価値があるのだとしたら僕らにはどんな価値があるのだろう

日和下駄 (講談社文芸文庫)

日和下駄 (講談社文芸文庫)


晴れの日も雨の日も、日和下駄を履き、蝙蝠傘を片手に東京を歩き回る老人。
そして失われた過去の、江戸の、明治の面影を書き綴る。
目の前の光景と江戸の地図を重ね合わせ、失われた風景を懐かしむ。
それは、過去に重ね合わせないと眼前の風景は、風景としての意味がないということなのだ。
薄気味の悪い昭和ノスタルジーのように、失われたものを美化するのではなく、荷風にとっては失われたものを通さないと現在の価値がないのだ。