雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

紛争の心理学―融合の炎のワーク/アーノルド・ミンデル


紛争とか対立とか

紛争の心理学―融合の炎のワーク (講談社現代新書)

紛争の心理学―融合の炎のワーク (講談社現代新書)


対立を恐れるのではなく、対立の上に互いを思いやることを推進していこうとする、「ワールドワーク」について書かれている。
プロセス志向心理学(POP)に興味が無かったら、この本はちょっとどうかと思うだろう。
ミンデルの唱えるドリームボディも出てくる。
人間は意識的なメッセージの他にも、身体反応かのようにメッセージを伝えている。
それは、本人すら意識しないところで発されている。
ワークのファシリテーターは、それらに着目し、互いのメッセージの交換を促す。
また、多数派が意識しない「ランク」の概念に着目する。
恵まれている者はそれだけで権力や影響力を握っている。
それに気づかないことで少数派は傷ついているのだという。
この本で取り上げられる、民族紛争、人種差別、虐待、といったテーマは重い。
それらに対してのミンデルのメッセージは、対話を繰り返すことだと言う。
しかも、言葉だけのではなく、身体的なメッセージをも含め、そこで起こる対立や軋轢にも着目し、互いに理解し合うことを促そうとしている。
ミンデルの考えは、ニューエイジ的な流れの中にありつつ、来るべき「深層民主主義」という方向に向かっているようだ。
それはいかなる世界をイメージしているのか判らないが、新しいユートピア思想でないことを願いたい。