雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

深夜特急〈3〉インド・ネパール/沢木耕太郎


そこから抜けだす

深夜特急〈3〉インド・ネパール (新潮文庫)

深夜特急〈3〉インド・ネパール (新潮文庫)


いよいよインドとネパールに辿り着く。
ここに描かれるインドは憧れでもなく、その混沌とした世界をどう泳ぎ切るかという、そのことに囚われているようだ。
それは自分が曖昧になってしまうかもしれない場所であり、自分以外のものが曖昧になっていく場所であるかのようだ。
混沌とする世界で、その意味を問うことは意味が無い。
作者は混沌そのものの中で、旅の目的も、続ける意味も問わなくなる。
ヒッピーやジャンキーたちの悪夢のようなニルヴァーナと、あまりにも過酷な現実の狭間で中で、やがて「そこから抜け出す」ことを考える。
そこにあるものは世界のすべてであり、コンデンスミルクのように濃縮された世界なのだろう。