- 作者: 森下二郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1941/03/24
- メディア: 文庫
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手に入れたのは、1995年のリクエスト復刊のようだ。
この本は鎌倉時代の浄土宗の僧侶たちの言葉を集めたものらしい。
徒然草にも登場し、徒然草を論じた小林秀雄の著作にも登場し、小林秀雄を論じた吉本隆明の本にも登場する。
死を恐れず、生を厭うまでの、死生観とは一体なんであろうか?乱世の世からの救済を希求し、彼岸である浄土を願う、というある種のプロトタイプで理解してしまうことは、何かを見落としていないだろうか?また、そこにある種のロマンティシズムを見出すのは、どのような精神であろうか?むしろ、そこには原理主義的な観念の袋小路が控えていないだろうか?
奈良時代以降、中国から伝来した仏教の日本での展開に於いて、政治権力との結びつきから徐々に分離して行ったのが、平安時代後期以降の姿だったと記憶している。
鎌倉時代以降の、やがて一揆にも繋がる、村落共同体を背景にした仏教の広がりは、民間信仰や陰陽道との混交であったり、梁塵秘抄など芸能への展開であったり、そういった変種のひとつとしてのこの本として捉えても良いのでは無いだろうか。