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雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

梁塵秘抄


流行るもの

梁塵秘抄 (岩波文庫 黄 22-1)

梁塵秘抄 (岩波文庫 黄 22-1)


あまりにも有名なので、内容だとか成り立ちだとか、そういったことは書かない。
後白河院が集めた当時の今様、つまり流行歌なのだという。
平安末期だから院政の頃で、当時の最高権力の地位にあった人間が、流行歌を集めて本にしたというのだから、変わった本ではある。
ここには大きく3つのテーマが歌われているように思える。
ひとつは仏教的世界、もうひとつは神話的世界、最後は各地の名所である。
神話的世界は時間のベクトルの中で、現在から過去に向かうものであろう。
仏教的世界は、現在から未来に向かうベクトルであろう。
そして名所は、空間のベクトルにおける拡散を表しているのではないだろうか。
つまり、今様に歌いこまれているものは、共同体内部での共感のベースとしての神話的世界と、流行として新たな世界観を持ち込もうとする仏教的世界と、空間の拡散というテーマなのではないだろうか。
流行るものというのは、共同体内部での共感を得られるもの、新たな世界観をもたらすもの、見たことも無い景色へいざなうもの、ということになりそうだ。