雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

ダフニスとクロエー/ロンゴス

ラベルのバレエ音楽であったり、絵の題材だったり、三島由紀夫の「潮騒」の下敷だったりするが、この本がオリジナルらしい。
とは言え、作者のロンゴスについては、ほとんど解っていないらしい。
どんな話かと聞かれたら、古典的なボーイミーツガールの物語、あるいはポルノ小説の一歩手前、または古代のライトノベル、といったとこだろうか。
ただ、主人公達の意思は、必ず神が夢を通じて決定する。
人間達のこの世界は、神々の意思によって左右されており、むしろ自分達では決定はできない。
年長者はもめごとの調停者ではあるが、決定するのは神々なのだ。
確かマルクスエンゲルスだったか?)は、こういった権力構造を古代社会の典型としていたように記憶している。
現実社会の権力と象徴的権力の二重構造は古代に限った話ではないだろう。
だが、この本はラノベなので、ダフニスとクロエはハッピーエンドを迎えるだけなのである。

ダフニスとクロエー (岩波文庫 赤 112-1)

ダフニスとクロエー (岩波文庫 赤 112-1)