雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

インド夜想曲/アントニオ・タブッキ

何度でも読み返したい本のうちの一冊である。
なぜ私は読み返したいと思うのだろうか。
この小説は友人を探す物語であり、旅をする物語であり、あるいは存在の物語でもあり、物語についての物語でもある。
物語としての起承転結を味わいたいと思っているのではないようだ。
なぜなら、もう何度も読み返して、覚えてしまっているからだ。
旅の細部をガイドブックを読むように味わう、というのもある。
インドには行ったことは無い。
だが、登場するホテルの雰囲気というのが、とても魅力的に描かれている。
そういったことは読んでから味わうものであり、読む前に手に取る理由なのかというと、違うような気がする。
読みたくなるのは、何かを回復するためのような気がする。
この物語を読むことで、何かを取り戻しているようだ。
それが何であるかは、いまは書かないでおこう。


インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)