雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

大いなる酒宴/ルネ・ドーマル

正確にはドーマルをシュルレアリスムの文脈で理解することは誤っている。
(いうまでもなく、グルジェフからの間接的な薫陶を受けた神秘主義者と捉えるのも、同様の誤りだ)
だが、ブルトンだけがシュルレアリスムを体現していたのではないし、シュルレアリスムとは思想ではなく技法・テクニックなんじゃないか、という考えはどうだろうか。
この本は、ルネ・ドーマルが生前に完成させた唯一の小説だそうである。
酒場での馬鹿騒ぎから始まり、もうひとつの裏返しの世界を酒を求めて彷徨い、そこからの転落と現実への帰還に至る、という物語だ。
様々な仕掛けが張り巡らされ、娯楽小説でありながら、形而上学的な小説でもある。
思えばドーマルのもうひとつの主著である「類推の山」も、冒険小説でありながら、形而上学的な小説であった。
ひとが真理に至るための道筋を指し示すこと、それがドーマルの小説の主調である事は間違いないように思う。
それを読み取れるかどうかは、また別の話なのだが、そのための衣装が、娯楽小説風であったり、冒険小説風であるのだろう。
ともあれ、読み流そうと思えば読み流せるのだが、重要なことがそこには書き込まれている。
この本もまた読み返すに値する本だと思う。
そしてこの本では、ドーマルとそのグループ「大いなる賭け」について詳細な解説が付いている。
今までシュルレアリスムの傍系としてしか紹介されていなかったが、こうしてまとめて読めるのはうれしい。


大いなる酒宴 (シュルレアリスムの本棚)

大いなる酒宴 (シュルレアリスムの本棚)