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雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

悲劇の誕生/フリードリッヒ・ニーチェ

ニーチェを読み返すのは久しぶりだ。
この本で古代ギリシアにおける、アポロ的なるものとディオニュソス的なるものの対立を論及していたと記憶していた。
読み返してみると、ギリシア悲劇における没落と喜劇への転換点をエウリーピデースに見出している。
そしてそれは、アポロvsディオニュソスからソクラテスvsディオニュソスへという対立構図の転回点を、エウリーピデースの葛藤と挫折として読み解いている。
またそれは、詩的なるものの論理的なるものへの敗北であり、詩人プラトンの哲学者プラトンへの転回点でもある。
そうした、スリリングな論及はこの本の前半なのだが、後半に音楽への言及や、ドイツ精神への論及に及ぶと話はとたんに失速してしまう。
そう読みとくと、この本は明らかに失敗作なのだろうが、それをただの失敗に終わらせないところがまたニーチェらしい。
あとがき的に付けられている、「自己批判への試み」において、射程はソクラテス的なるものへ引き戻している。
従って、ニーチェの主張はディオニュソスなるものへの手放しの賛美なのではなく、西欧思想の源流にあるソクラテスなるものの支配と、それに追いやられていくディオニュソス的なるもの、という捉えかたにあるのだろう。


持っているのは中公文庫版、西尾幹二訳。
悲劇の誕生 (中公クラシックス)

悲劇の誕生 (中公クラシックス)

いまは中公クラシックスなのだろうか。
悲劇の誕生 (岩波文庫)

悲劇の誕生 (岩波文庫)

岩波文庫にも入っている。秋山英夫訳。
悲劇の誕生―ニーチェ全集〈2〉 (ちくま学芸文庫)

悲劇の誕生―ニーチェ全集〈2〉 (ちくま学芸文庫)

ちくま学芸文庫は、塩屋竹男訳。世界の名著に入っているのは、手塚富雄訳だろうか。