雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

味満亭/大野真志郎

古い漫画を引っ張り出して読む。
もともとモーニングで連載していたのを読んでいたが、単行本が出たので買ったのだった。
奥付を見ると1997年なので、もう17年前かと思うとこの本のことなど覚えている人などいるまい。
四コマ漫画で食と貧乏が基調にあって、いくつかの決まったキャラクターが入れ替わり登場する。
爆笑ということでもないのだが、くすりとする。
その中でも、「たそがれ大衆食堂」という作品は秀逸だと思う。
おじいさんが店内で注文を取り、おばあさんが調理をする食堂のようなのだが、注文するほうも老人であり、3日待っていたりする。
実はおばあさんは既に亡くなっており、仏壇に遺影が収まっている、という話だ。
笑うに笑えない、なんとも後味の悪い感じがして、むしろホラーに近いだろう。
恐ろしいのはこの一篇だけなのだが、他のギャグも根底には何か笑うに笑えないものが潜んでいるような気がする。
だからこそこの本は手放せなかったのだと思う。
他の作品も見てみたいのだが、ネットで作者を検索しても、この本しか出てこない。


味満亭 (モーニングワイドコミックス)

味満亭 (モーニングワイドコミックス)