雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

ムーン・パレス/ポール・オースター

なんとなく弱っているものだから、好きな本でも読むことにした。
この本を読むのはもう何度目か分からないが、何かあると逃げ込みたくなるアジールのようなものになっている。
本を読んで人生が変わるというのは度を越した誇張だと思うが、何か息が楽になるようなことはあるのだと思う。
もう物語の主人公に自分を重ねることができるほど若くもないが、この波乱万丈の物語に身を委ねていると少しはましな状態になれる。
初めて読んだ時にはこの本を誰かに薦めたくなって、実際そうしてみたのだけれど、彼女にはピンと来なかったようだ。
十人いれば十通りの読み方があって、さらに何倍何十倍もの本が存在していて、だから同じように響くとは限らないという単純なことにさえ気づけなかったのは、若かったからだということにしてしまおう。
逆を返せばこの本を読んで響く人がいたら、今からでも友人になれる可能性があると思いたい。
もっとも、本の話をするなんて、青臭い会話なのだということは、社会人になった頃から嫌でも知らされる。
だから、そっと本を読んで、気づかれないようにブログを書く。


ムーン・パレス (新潮文庫)

ムーン・パレス (新潮文庫)