雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

日本の呪い/小松和彦

久しぶりに小松和彦の著作を読み返してみる。
全く別の話なのだが、最近、情報番組やクイズ番組の多さが気になる。
そんなに情報が必要なのだろうか。
そこにあるのは、情報の消費のようでもあり、無知を笑う残酷さが隠れているようでもあるように思う。
ある種のコミュニティ的な空気と、そこから疎外されるものを笑う在り様、といったら伝わるだろうか。
前置きで関係のない話と言ったが、実はこの本を読んで思ったのは、(あえて誤解されそうな言葉で)日本的な集団の在り様と日本人の心性のダークサイドのことだ。
情報番組の中に日本賛美のトーンが多いのも気になる。
いつからみんな愛国者になってしまったんだろう。
そんなに自分たちのことが好きになったのは何でなんだろう。
しかも自画自賛だけじゃなくて、外国人に賛美させるという手の込んだやり方まで持ち出して、自分たちのことを褒め称えたいのはどうしてなんだろう。
バブルの頃の自画自賛より気持ち悪くて薄気味悪い。
この本は、呪う、奉る、祓う、といった行為から日本文化を捉え直している。
フィールドワークの実例から、古典文献の記載まで引用し、いかに日本文化、政治が呪術にどっぷりと漬かってきたのか、そしてそこから離れられないのかが明らかにされている。
大学生の頃に買ったのだが、今読んでもなかなか刺激の多い本だった。


持っているのはカッパブックスなのだが、今は文庫のようだ。