何だか向田邦子が気になる。
たぶん同年代に近くなった。
向田邦子のエッセイに、親近感のようなものを覚えているような気がする。
何とはないようなことなのだが、それでも読ませる文章だと思う。
内容ではなく(とは言えゼロではないが)書きっぷりで読ませるというのはやはりプロのテクニックなのだと思うが、そこに至る人間としての深みのようなものがあるに違いない。
それはそれまでの経験だったり、普段からの思慮だったりするのだろう。
つまりエッセイに書けるだけの経験を積んでいる結果なのだろうと思うと、一方で自分はどうなのかと思う。
書き手と読み手の距離が近くなってきたからこそ、書いている文章というより、その背後の書き手が気になる。
もちろん同じであるわけもなく、違うからこそ読み甲斐がある。
読み甲斐があるからこそ、焦燥感にも似た感じがする。