雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

雀の手帖/幸田文

幸田文幸田露伴の娘、と書いてみても、もはや幸田露伴の読者なんて、学生か年寄りだろうか。

ましてや、娘の幸田文なんて読まれていないような気がしてならない。

この随筆(あえてエッセイとは言わないでおこう)は、新聞に日々掲載されたもののようだ。

そこで綴られる日常と今の自分との距離感に思いを馳せると共に、変わらないものの数を数えてみたくなる。

それ以上に思うのは、幸田文のような上品さというものが、今はどこにあるのだろうか。

この随筆の語り口というものは、子供の頃の東京の東側の感じがする。

それは観光地としての下町ではない。

江戸情緒だとか、下町風情といったものではなくて、そこで暮らす人たちの言葉使い、息遣いのようなものが、立ち昇ってくるように思った。

 

雀の手帖 (新潮文庫)

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