雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

ベーコン随想録/フランシス・ベーコン

何となく読みたくなって、古本で購入。

ルネサンス以降、近代の哲学を見直す必要がある気がしている。

おそらく、ポストモダニズム的な思考を抜けて、前近代的な位置に戻るのか、ハイパーモダニズム的な位置にまで突き進むのかと考えると、もう一度、ヒューマニズム的な思考を検証すべきなのかもしれない。

フランシス・ベーコン帰納法、と受験勉強で覚えたが、実際の思想を捉えていたとは言い難い。

とは言えこの本は、様々なテーマに沿って、小文を気ままに記載しているような内容である。

今一つ何が言いたいのだろうと思うような内容もあるが、なるほどと思える内容もあった。

もう一度、読み返してみる必要があるかもしれない。

※読んだのは岩波文庫版だが、絶版の様子。

 

収容所から来た遺書/辺見じゅん

おすすめしている人がいて、ちょっと興味を引いたので、図書館で借りてみた。

終戦後、ソ連軍に捕捉され、シベリアに抑留された日本人が60万人もいた。

その事実を、歴史上の出来事としてではなく、こういったノンフィクションとして読むのは、かなりしんどかった。

山本幡男氏は、満州鉄道調査部に勤務から召集され、ハルピン特務機関で終戦を迎え、ソ連軍によって抑留された。

厳しい収容所生活の中での文化活動、アムール句会、そして彼の遺書を家族に届けようと分担して暗記し帰国する仲間たち。

重い内容で、途中、何度か諦めようかとも思ったが、なんとか読み通すことができた。

ところで、ノンフィクションというものは、事実の記録ではなく、事実を基にした物語だと思っている。

フィクションも全くの無から有を作るものではない以上、フィクションとノンフィクションの境目というのは曖昧なのではないだろうか。

だからと言ってこの本の価値が変わるというものでもないけれど、どこかで錯覚してしまいそうになっている自分がいると思う。

 

センス・オブ・ワンダー/レイチェル・カーソン

読もうと思ってる本のリストにあったので図書館で借りてみた。

自然に対する感覚、耳を澄ますこと、足元を見ること、風を感じること、空を見上げること、そういったものに対するエッセイのようなもの。

短い文章だが、何となく心に残る。

 

カムイ伝講義/田中優子

気になったので借りてみた。

白土三平氏の「カムイ伝」を基に、江戸時代の人々の姿を描き出している。

特に農民、穢多、非人といった人々、そして戦いを行わなくなった武士、といったフォーカスの当て方が面白い。

そして、更には江戸時代の人々の価値観の推察から現代への相対化という視点で様々なテーマが論じられる。

特に穢多、非人といった、士農工商身分制度から外れた人々が社会の中でどのような役割を担っていたのかという考察、農民が担う役割など、なかなか読み応えのある一冊であった。

サーチ・インサイド・ユアセルフ/チャディー・メン・タン

マインドフルネスについて、元グーグルのエンジニアであるチャディー・メン・タン氏が解説している本である。

ジョークが読みにくいとかいう評判も目にしたが、そんなことも無く、何とか読み終えた。

300pあるとなかなかのボリュームに感じる。

マインドフルネスから発展し、SIY(Search Inside Yourself)というプログラムを解説している。

瞑想の一種なのだろうと思うが、一人でできるものから、誰かとペアで行うものになっており、実用的ではあるのだが、これを実践しようという気にはならなかった。

たぶんちゃんとやったら、効果はありそうな気はするのだけれど、実践できる環境にないという気がする。

冒頭の方の独りでできるエクササイズは問題ないと思う。

 

 

秘島図鑑/清水浩史

幻島図鑑を借りる際に、こちらも気になったので合わせて借りた。

こちらが、先に出た本のようだ。

無人島だけでなく存在しない島、行きたくても行けない島、なども含まれている。

日本は島国だというけれど、島であることを意識することは少ない。

何となく確固とした大地がどこまでも続いているような気になっている。

ところがここに紹介されているような小さな島を見ると、それが揺らぐのではないだろうか。

海という広大な領域の中で生きることのできる小さな場所。

著者が島の歴史やエピソードを掘っていくことは、自分たちの存在証明のようなものではないだろうか。

などと考えた。

 

幻島図鑑/清水浩史

本屋で見かけて買おうかどうしようか迷っていたけれど、図書館にあったので借りてみた。

日本の無人島の紹介と探訪記といったエッセイである。

また、島の写真も美しい。

無人島になってしまう経緯、島民の思い、というところに焦点を当てているのが面白い。