雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

アメリカの鱒釣り/リチャード・ブローティガン

この本もまた、買ったのに読んでいなかった本だ。 タイトルの「アメリカの鱒釣り」Trout Fishing In Americaが、何を意味しているのか、それは解らずじまいだった。 何か大切なことを篭めているようにも見えるが、実は下らないことかもしれない。 もしかする…

悪党列伝/ホルヘ・ルイス・ボルヘス

いまさら、ボルヘスについて改めて書く必要もないだろう。 この本は、ボルヘスの第一短編集だそうだ。 だいぶ前に買っていたはずなのに、なぜか今まで読んでいなかった。 表題の連作は、歴史上、悪党と呼ばれる側の人物に光を当てている。 この本には、表題…

猛者(ワイルド・ボーイズ)−死者の書/ウィリアム・S・バロウズ

ワイルド・ボーイズは1969年頃の北アフリカ(主にモロッコ)から、アフリカ、中南米、東南アジアの密林を中心に全世界に広まった少年の集団だ。 少年たちは、殺人、誘拐、強盗、戦闘、ドラッグ、男色といった、まあ世間的には非道徳的、非合法的な活動を行い…

山躁賦/古井由吉

実は、古井由吉については、良く知らない。 持っているのもこの本だけである。 文学史上は「内向の世代」と言われるようだ。 でも、世代で文学を捉えて、それで何かが解かったつもりになっていたとしたら、最初から本を読む必要はないんじゃないだろうか? …

腐敗性物質/田村隆一

田村隆一氏の名前を知ったのは、吉本隆明氏の本を読むようになって、「荒地グループ」と称される詩人たちの存在を知ってからだったように思う。 既にその頃は、田村隆一氏は老境の域に達していたと思う。 時折、詩誌で発表される詩は、諧謔とユーモアの中に…

続百鬼園随筆/内田百けん

例えば、何か本が読みたいと思う時、どう選ぶのかは悩ましい問題だと思う。 誰が読みたい、とか、何が読みたい、などと意識しているのならばともかく、ただ何となく何かが読みたいという時に何を選んだらいいのだろう。 とりあえず手にとって、パラパラとめ…

兎/金井美恵子

申し訳ないが読み通せず。 どうも苦手だ。 今でも活躍されているようだ。 近年のは異なるのだろうか。兎 (1979年) (集英社文庫)作者: 金井美恵子出版社/メーカー: 集英社発売日: 1979/02メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見る

仮面の告白/三島由紀夫

『仮面の告白』とは何を意味しているのか、それがこの本を読み返すための鍵だと思った。 いったん『仮面』『の』『告白』と別けてみる。 『仮面』とは、素顔を隠すものであり、一方で新たな顔を形作るモノと言えそうだ。 だが、仮面に焼き付けられる『ワタシ…

ぼくの伯父さんの東京案内/沼田元氣

沼田元氣を知ったのは、中学生の頃に読んでいた「ビックリハウス」だった。 盆栽の着ぐるみで、擬古調な文章と盆栽アートを繰り広げていた気がする。 その後、世間はバブルに浮かれて、沼田元氣は見かけなくなった。 そして、挟まっていたレシートを見ると、…

神隠し/小松和彦

そういえば、『神隠し』という言葉をあまり聞かなくなった気がする。 以前は聞いていたのかと言われると、そうとも言い切れないが、やがて忘れられてゆく言葉のような気がする。 だが、遠い昔に『神隠し』はあったのだ。 家族や知人が不意に姿を消し、忘れた…

春昼・春昼後刻/泉鏡花

舞台は逗子の岩殿寺の辺り。 他所から逗留している主人公が、岩殿寺の住職から聞いた話と、寺へ至る道すがらに見かけた女性が物語の中心とでも言えよう。 唄うようにうねる泉鏡花の文体は、色彩と植物の名が溢れ、華やかな描写に乗って、春の昼下がりから不…