雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

奇妙な果実/ビリー・ホリデイ

時々、ビリー・ホリデイが聴きたくなる。 何故だかは判らない。 当然ながら、自分が生まれる前に亡くなっているし、親達が聴いていたわけでもない。 (小さい頃、父方の祖父母が浪花節を聞いていたのは覚えている) 独特の声の響きと、そこに漂うものに魅か…

詩という仕事について/ホルヘ・ルイス・ボルヘス

この本はボルヘスが1967年に行った講義録である。 テーマは、詩をめぐる ・詩という謎 ・隠喩 ・物語り ・言葉の調べと翻訳 ・思考と詩 ・詩人の信条 という6つである。 この中で、ボルヘスは韻文は散文に先行する、と述べている。 感覚的には、散文を形式化…

故事新編/魯迅

中国の神話や故事を題材にした短篇集である。 どこかで聞いたことのあるような話もあるし、よく判らないのもある。 それにしても「剣を鍛える話」の、キレっぷりは凄い。 煮えたぎる鼎の中で、生首が戦うという発想は一体どこからやってくるのか。 因果応報…

モーターサイクル・ダイアリーズ/エルネスト・チェ・ゲバラ

若き日のゲバラが、アルゼンチンからバイクで南米大陸を北上し、チリ、ペルー、コロンビア、ベネズエラへと至る旅の記録である。 バイクにアルベルト・グラナードと2ケツで出発するのだが、バイクは故障し、廃車に追い込まれ、やがてヒッチハイクで旅を続け…

チャイナ・ヴィジュアル/中野美代子

確か持っていたはずと探したら、本棚の一番上の隅の方にあった。 この本は、1999年に出版された。 内容は大きく3つのブロックに分かれている。 エキゾティシズム クロノス・ヴィジュアル スクリプト・ヴィジュアル エキゾティシズムのブロックでは、清朝の宮…

契丹伝奇集/中野美代子

中野美代子氏を知ったのは、澁澤龍彦経由であったか、それとも、福武文庫の「孫悟空の誕生」であったか、あるいは雑誌ユリイカで見知ったのか、今となってはもう定かではない。 中国文学を巨大な幻想の森へと塗り替えてしまうその文章に魅入ってしまった。 …

七つの夜/ホルヘ・ルイス・ボルヘス

どうしても気になっていたので買ってしまった。 この本は、1979年、ブエノスアイレスのコリセオ劇場での講演集であり、テーマは 神曲 悪夢 千一夜物語 仏教 詩について カバラ 盲目について の七つである。 穏やかに、時にはユーモアを交えながら語られる、…

雀の手帖/幸田文

何とはなしに、図書館で借りてみた。 西日本新聞に連載されていたようだ。 こういった随筆はどう捉えるのか、よく判っていない。 幸田文は幸田露伴の娘であり、明治生まれの女性である。 自分の母方の祖母が、明治生まれだったことを思い出すのだけれど、な…

哲学者の誕生/納富信留

図書館で何となく気になったので借りてみた。 ソクラテスの死にプラトンは立ち会っていないにも拘らず、その情景を「パイドン」で表している。 この本はその、一見不可解なプラトンの対話篇についての考察から始まる。 自身では何も著作を残さなかったソクラ…