2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧
何となく時代小説が苦手だ。 歴史にあまり興味がないので、その面白さは判らないだろうと思っていた。 だが、この本は何となく気になっていたので、図書館で借りてみることにした。 そして読んでみると、みるみる引き込まれてしまった。 舞台は戦国時代の中…
1988年12月2日に那覇にて開かれたシンポジウムの記録を中心に、吉本隆明氏の新たな「南島論」をキーにとした各氏の考察を含めてまとめられた本である。 その南島論は、国家を越えるべき論理として構想している。 同時期に吉本氏が展開していた都市論、つまり…
筆者の吉村昭氏については、全く知らない。 図書館で何となく手にとって、少し拾い読みをして借りてみた。 こうして随筆を続けざまに読み比べてみると、その人の素養の違いが気になってしまう。 この本の場合、どうにも吉村氏の決めつけのようなものが、気に…
実は、白洲正子氏の本を読むのは、これが初めてである。 いままで、何となく敬遠していたのだ。 だが、読んでみると、普通な感じがした。 それは、今まで接していただいていた、年配の方々の感覚に近い。 その口がさの無い言い方や、物の見方は、身の回りに…
村上春樹氏の短いエッセイが3篇と、稲越功一氏の写真58点による本である。 恐らくエッセイが先にあって、写真を選んだのだろうと思う。 もちろん、エッセイを説明するような写真ではない。 だが、このように構成してしまうと、エッセイに対して写真は説明的…
何となく随筆が読みたくなって、図書館で何冊か借りたうちの一冊。 筆者の大道氏については何も知らない。 「居酒屋」と言いつつ、イタリア料理やフランス料理の店にも訪れているが、そんなことは大したことではない。 店の紹介かというと、そういった面も無…
吉本隆明氏が亡くなった。 追悼の意味も込めて、この本を読みかえす。 ここには瑞々しい詩人の孤独の言葉がある。 だが今日は、あまり感想を吐かずに、読むだけにしようと思う。 吉本隆明初期詩集 (講談社文芸文庫)作者: 吉本隆明出版社/メーカー: 講談社発…
好きか嫌いかと言う前に、読み耽ってしまう小説というのがある。 それは、まさに文章の力なのだと思う。 新潮文庫の奥付の前、初出一覧の後辺りにある、数行の解説でこの本を見つけた。 そこに書かれていた「私小説という悪事」というフレーズに惹かれたよう…
読み方を誤ってしまい、何だか苛々させられた。 何らかの思想を持って語られるのかと思って読んでいると、なかなかそこにはたどり着けない。 例えば、主張のこんなところが目に付いてしまう。 ・条件に合う事例だけを紹介する、合わない事例は出さない ・所…
セネカはローマ時代の哲学者。 この本には、「人生の短さについて」「心の平静について」「幸福な人生について」の3篇が収められている。 乱暴にまとめてしまえば、他人に振り回され自分自身に配慮しない人生は短く感じるということ、善きことに自信を持っ…
小さな漁船で漁に出て、船が故障してしまい、そのまま37日間も漂流し、生還した武智三繁さんへのインタビューによる本。 といっても、武智さんの話をただ再構成し、纏めたという内容ではない。 著者の吉岡忍氏は、武智さんの生い立ちに遡り、武智さんという…
どんな著者かも知らずに、読み始めて思ったのは、これは少女漫画のような小説だ、ということだった。 私自身は少女漫画を語れるほどに詳しくは無い。 だが、恋愛をテーマとしてそこにファンタジーを見出すのは、少女漫画的なセンスに近いと思った。 そして、…
何となく落ち着かなくて、気忙しい毎日が続くと、百鬼園先生に手が伸びてしまう。 一気に読んでしまうのが惜しくて、未読で取っておいた阿房列車シリーズの三巻目である。 内容はもう今更説明する必要も無いのだが、目的もなく旅に出る随筆、とでも言ってお…
井筒俊彦氏は東洋学の大家であり、恥ずかしながら「意識と本質」は未だ読み通せずに、本棚の片隅に置いてある。 また、井筒氏はユングが主催していた「エラノス会議」に招聘された、数少ない日本人の一人であり、毎年のように、東洋文化について講演されてい…