雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2016-01-01から1年間の記事一覧

残念な人の思考法/山崎将志

この本もまた図書館で借りた。 ビジネス全般のハウツー物というか、まぁ、仕事に苦しくなったら読む本という感じがした。 顧客志向、プライオリティ付け、そういったところがキーワードだろうか。 残念な人の思考法(日経プレミアシリーズ) 作者: 山崎将志 出…

武器としての交渉思考/瀧本哲史

この本もまた図書館で借りた。 手っ取り早く言うと、交渉術のノウハウ本である。 そこに「武器としての」と枕詞を重ねるのもまた、作者による読者との交渉なのだろう。 ノウハウ本を解説するのは蛇足なのでしない。 武器としての交渉思考 (星海社新書) 作者:…

煙草と悪魔/芥川龍之介

ちょっと小洒落た短篇である。 芥川らしいと言えばらしいと思う。 ちょっとひねっているというか。 煙草と悪魔 作者: 芥川竜之介 発売日: 2012/09/27 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る

日本辺境論/内田樹

この本もまた図書館で借りた。 が、ほとんど興味のない本だったので、途中で諦めた。 まあ、そういう事もある。日本辺境論 (新潮新書)作者: 内田樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/11メディア: 新書購入: 29人 クリック: 793回この商品を含むブログ (35…

昭和元禄落語心中/雲田はるこ

ちょっと前から夜中にアニメ化されていて、ちょっと気になっていた。 お試しで1巻が無料だったので読んでみた。 落語自体が好きなので、ちょっとこれは読み耽ってしまいそうで危険だ。 本当は寄席とか行ってみたいが、何せ時間が無い。 昭和元禄落語心中(…

三十年後の日本/海野十三

こちらはジュブナイルといって良いだろう。 発見された大きな銀色の球体から、冷凍保存されていた30年前の少年が蘇り、未来の世界に驚き、月世界での冒険活劇と、あっと驚く展開で物語の幕は閉じる。 レトロフューチャー好きであれば、ぜひお勧めしたい一篇…

空襲下の日本/海野十三

以前、文体が似ていると診断されたことがある海野十三を読んでみる。 戦争中の日本の人々の姿を描いている。 市街地の空襲が、まるで見てきたかのように書かれているが、この作品が発表されたのは、昭和8年である。 どこかで見聞きした情報を、東京の上に展…

日本文化私観/坂口安吾

言わずと知れた名随筆である。 ブルーノ・タウトの同名のエッセイに取り上げられるような悟り澄ましたような、所謂「文化」なんかより、人間の生き生きとした姿に文化の本質を見る、という主旨だと強引にまとめる。 それはそうなのだが、やはり洗練というも…

夜長姫と耳男/坂口安吾

坂口安吾を続けて読んでいる。 不意にこんな言葉が突き刺さる。 好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがだめなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。 息苦しいのは、坂口安吾のせいではなくて、…

青鬼の褌を洗う女/坂口安吾

坂口安吾を読み出すと癖になる。 この短編の主人公は妾の娘で、戦争中から終戦直後ぐらいの話のようだ。 一人称で語られる物語は、観念的なようで感覚的でもあり、ともすれば何を言わんとしているのか見失いそうになる。 だが時に坂口安吾の言葉が、不意に突…

桜の森の満開の下/坂口安吾

けだし名作だ。ダークファンタジーであり、寓話である。さらってきた女は他の人間を殺すよう指図し、生首でままごとめいた遊びをする。下女として生き残った女は、お喋りが生き甲斐だという。主人公の男はろくでもない人殺しだが、主人公だけが狂気に気づい…

ろくろ首/小泉八雲

この怪談はまるで冒険活劇だ。飛んで行った首は、どこへ行ったのか。そこからまた、新たな物語が生まれる可能性がある。ろくろ首作者: 小泉八雲発売日: 2012/09/14メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る ろくろ首

葬られたる秘密/小泉八雲

生前の物に固執する幽霊の話。恐ろしくはないが、物悲しい。怪談とは何なのか。小泉八雲は怪談のなかに日本的ななにかを見いだしたのではないだろうか。葬られたる秘密作者: 小泉八雲発売日: 2012/09/13メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る

近代支那の文化生活/内藤湖南

中国における近代とはなにかという考察。そのメルクマールとして、平民ということを持ち出して、宋からとしている。さらっと読み流してしまった。近代支那の文化生活作者: 内藤湖南発売日: 2012/10/01メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る

男ごゝろ/永井荷風

勢い付いて永井荷風を続ける。 短篇小説で15分もあれば読める。 気になる女を落として、面倒くさくなって離れていく、そんな短篇である。 そんな男もいるさ、とやり過ごせるなら大人の女性だろうか。 デートの場所が浅草という辺りに時代を感じる。 男ごゝろ…

狐/永井荷風

永井荷風の初期短篇である。 幼年期の記憶を元に書かれた物語は、実に鮮やかだ。 少年の心に映る薄暗い不気味な庭、威厳があって権力の象徴のような父、白い雪の上に滴る赤い血、そして絵草子の鬼のような大人の姿。 淡々と描かれながらどの場面も印象的だ。…

耳目記/芥川龍之介

Kobo Glo HDを買ったので、さくさく青空文庫が読める。 性能ではタブレットやスマホと比べられるものじゃないけど、電子書籍端末はありだと思う。 ということで、3ページほどの芥川のアフォリズムをさくっと読む。 芥川のアフォリズムはどこか皮肉めいた笑い…

酒に呑まれた頭/吉田健一

とにかく食べる話と、呑む話と、旅の話だ。 他愛も無い話といえばそうなのだが、それ以上の話題って何かあるのか、とでも言いたそうだ 。 他人様の色恋話を聞かされるよりは、酒の話をしてた方が良い、という境地かもしれない。 判るような判らないような。 …

巨人伝・ほらふき男爵/寺山修司

久しぶりに寺山修司でも読んでみようかと思いたって、たまたま本棚の手の届きやすいところにあったのを選んだ。 荒唐無稽でちょっと色っぽい小話を集めている。 悪く言えば与太話、ちょっと言い方を変えると、ナンセンスな小話集といったところか。 どれも嘘…

私の食物誌/吉田健一

吉田健一が再評価されているのは、最近のことではないだろうか。 ところで、吉田健一をどのように知ったのかは、もう覚えてはいない。 石川淳か、倉橋由美子か、或いは松浦寿輝か、その辺りの作家から、名前を聞きかじったのだろうと思う。 日本文学史のメイ…

インド夜想曲/アントニオ・タブッキ

何度となくこの本は読み返してしまう。 旅と人生と物語の本だ。 どうしてここまで、この本に惹き付けられているのだろう。 それは理屈ではなく、この本の魅力が色褪せないということなのだ。 くさい言い方をするなら、生涯の友というところか。 物語の粗筋と…

近頃の幽霊/芥川龍之介

近頃とは言っても、20世紀初頭の怪談話に関するエッセイである。欧米の動向を押さえつつ、怪談が形式としては古典でありつつも、内容は水物であることを見抜いている。流石の慧眼である。 近頃の幽霊 作者: 芥川竜之介 発売日: 2012/09/13 メディア: Kindle…

葬儀記/芥川龍之介

これは、夏目漱石の葬儀の様子を描いている。このところ読んでいた作品と違って、感傷的なエッセイだ。葬儀記作者: 芥川竜之介発売日: 2012/09/27メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る

温泉だより/芥川龍之介

何だかんだ言いながら、また芥川を開いてしまう。 どこか牧歌的なタイトルとは裏腹に、男女の悲哀を描いた短篇である。 惚れた女へ会うための金を、自分の献体代金を前払いで貰うのだが、それもやがて底をついて、といったお涙頂戴話である。 このところ読ん…

孤独地獄/芥川龍之介

相変わらず芥川を読む。 孤独地獄とは現世の人々のすぐ傍にあるらしい。 吉原で出会った僧侶とのエピソードから、地獄の話へ。 そんな僧侶の行方は遥と知れず、芥川は孤独地獄に共感を示す。 芥川のこんな短篇ばかり読んでいると、ちょっと気が滅入ってくる…

夢/芥川龍之介

またしても芥川の短篇を読む。 主人公は画家で色付きの夢を見るのは異常な徴だとかいう話から始まる。 何とも陰鬱な作品だ。 だが、登場する女性の乳首に関する描写が妙にエロティックである。 夢 作者: 芥川竜之介 発売日: 2012/09/13 メディア: Kindle版 …

貉/芥川龍之介

芥川の作品を立て続けに読む。 こういう時に電子書籍は便利だ。 読みたいときに、読みたいだけ読める。 タヌキが人を化かすという話の起源を巡って、歴史を遡り、伝説めいた話を掘り起こす。 何とも芥川らしい短篇である。 さらっと読んで飛ばしてしまうとこ…

死後/芥川龍之介

芥川の短篇は結構読んでいたつもりだったが、これは初めて読んだ。自分の死後に妻の新しい夫のことを詰り、その事を反省するという、小説のようなエッセイのような作品である。死後作者: 芥川竜之介発売日: 2012/09/27メディア: Kindle版この商品を含むブロ…

ダヤン・ゆりの花蔭に/ミルチャ・エリアーデ

2016年の読書はエリアーデから始めよう。 「ダヤン」は最終方程式に関するミステリーである。 だが、謎は明かされない。 謎は明かされないばかりか、主人公の死さえも仄めかされるだけだ。 恐らくこれは知に関する考察であり、知るということと、知りたいと…