2019-01-01から1年間の記事一覧
榊莫山という名前を知ったのが、米焼酎のCMであったなんて、お里が知れるというものだろうか。 有名な書家ではあるが、その作品は好みではない。 だが、書に対する考えや、エピソードなどは面白く読めた。 書百話 作者:榊 莫山 出版社/メーカー: 毎日新聞 発…
1999年7月に恐怖の大王が来て世界が滅ぶ、という予言は、小学校の教室の中で、幾度となく盛り上がった。 どうせ世界は滅びるんだから、やりたいことをやったほうが良い、という価値観は、1980年代後半からのバブル期の消費マインドの根底に繋がっていたよう…
酔いにまつわるエッセイなのだが、酒を呑まない方の話が多くて、いささか鼻白む。 この本を企画はどういうつもりだったのか、逆に気になってしまう。 酔っぱらいの話は読むものではなくて、聞くものだということが良く分かる本である。 泥酔懺悔 (ちくま文庫…
久しぶりに村上龍のエッセイを読む。 村上龍はビジネスマン的な意味で、小説家だと思う。 つまり、小説家という職業を真面目にやっている感じがする。 この本は雑誌のコラムコーナーが、元のようだ。 だから、分かりやすく、手短にまとめられている。 無趣味…
何となく読んでみた。 池波正太郎が気に入ってるわけではない。 たぶん合わないタイプの人のような気がするが、文章は面白い時もある。 そして老いというものがにじみ出ている。 新装版 夜明けのブランデー (文春文庫) 作者: 池波正太郎 出版社/メーカー: 文…
芭蕉という名前は、ある種のシンボリックな記号であり、その名前を出せば免罪符的な効果があるようだ。 だが幸田露伴の芭蕉論は、批評というよりは、読者として面白がっているようなところがあると思った。 だが、幸田露伴の持つ江戸文学に対する素養と、自…
須賀敦子氏の名前は、アントニオ・タブッキの翻訳者として覚えてはいた。 しかし、作家としての作品に手を取ることもなかったのだが、ちょっと読んでみようかと図書館で借りてみた。 実に不勉強なことなのだが、イタリア在住の後、上智大学で教鞭を執り、日…
スマートウォッチがリアルタイムに人体の情報を収集し、クラウド上に集積して、AIが夕飯のオススメをプッシュ通知で知らせる、というのは既に現実である。 システムに接続すると健康が維持される世界は、徐々に現実に近づいている。 フーコーが告発した生権…
最近、アドラー心理学をよく耳にするので、また解説本を読んでみた。 そろそろ直に触れたほうが良いだろうか。 まだ何故か躊躇ってしまう。 アドラーをじっくり読む (中公新書ラクレ) 作者: 岸見一郎 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/07/06 メデ…
実に居心地の悪い小説だ。 だが本来、小説とはそういうものだろう。 「白い人」はドイツ占領下のリヨンが舞台である。 ナチスに協力する無神論者の主人公と、拷問にかけられようとも神を信じ、レジスタンスに協力する旧友。 限界状況における倫理的行動がテ…
Twitterでアカウントを見かけて、本がでてるので読んでみた。 ネットアカウントの方の本を読むのは2人目だと思う。 いい意味でも悪い意味でもなく、ネットで見たままの本だった。 Twitterで知っている人が、意外な一面とか裏話とか期待しても、ここには知っ…
何となく借りてみた。 先日のガザニガの本を紹介していた精神科医の方だと思う。 中年にもなって久しいと、「うつ病」はちょっと身近に感じる。 大したこともやっていないが会社員生活の中で、メンタルに問題があって辞めてった人は何人もいるし、辞めないま…
イスラム世界は、間違いなく今後の世界の一つの軸になる、と思っている。 99のキーワードで、イスラム世界の歴史、政治、社会、文化などをざっと俯瞰できる本。 到底、数ページの話だけでは理解できたとは言えない。 入門としては良いのだけれど、そこからど…
何となく図書館で借りた。 遠藤周作を初めて読んだのは、子供の頃に家にあった孤貍庵シリーズのエッセイだったと思う。 なので、純文学作品よりエッセイの印象が強い。 そんな孤貍庵シリーズのエッセイなのだが、江戸趣味の話や、スピリチュアル系の話が多い…
どこかのSNSか何かで、この本のことが言及されているのを眼にして、ちょっと読んでみようかと思った。 副題は「ガザニガ脳科学講義」である。 原題は「Who's in Charge? Free Will and Science of the Brain」 人間にとって脳とは中枢であり、肉体的な死より…
何となく読み返してみる。 数ページの長さの短編小説や、散文詩のような文章の詰まった作品集である。 面白いのもあり、侘しいのもあり、良くわからないのもある。 結局のところ、ブローティガンの作品の、何が良かったのか分からなくなる。 面白いのか面白…
久しぶりに田村隆一を読んでみる。 詩と随筆のアンソロジーである。 誰もが田村隆一のように詩を書くことは出来ないが、酒を呑んだり銭湯に浸かったりすることはできそうだ。 スコッチと銭湯 (ランティエ叢書) 作者: 田村隆一 出版社/メーカー: 角川春樹事務…
随筆ばかり読んでいると、論理的思考ができなくなるような気がして、とはいえ急に堅い人文書に手を伸ばすほどでもなく、ちょっと堅めの随筆を選ぶ。 内田樹はレヴィナスの翻訳者として知っていたはずなのに、随筆で見かける名前と一致していなかった。 とも…
ついでに借りてみた1冊。 飛び地、未確定の国境、不自然な形の回廊、そういった地図上の国境線から、現代史の国境紛争問題に遡っていく。 この本もまた軽く読めてしまうが、あんがい重いテーマである。 世界の奇妙な国境線 (角川SSC新書) 作者: 世界地図探求…
とあるブログで褒めているのを見て、読んでみようかと思った。 が、図書館で予約したところ、返却待ちになっていた。 そして夏休みの前日に、貸出可能の通知が来て、借りに行けず、結局、1週間遅れで受取って読み始めた。 食事に関する軽いエッセイである。 …
幸田文の短編小説集である。 随筆での語りが小説世界では制約になって、どの登場人物も作者の分身となってしまうのではないか、という漠とした不安のようなものがあったのだが、それは杞憂だった。 表題作の「台所のおと」に描かれる料理人を始め、様々な人…
子供の頃、NHKのドラマで観た記憶がある。 オープニングはトルコのCeddin Dedenで、これがとても印象的だった。 その後民族音楽を聴くきっかけだったと言っても、過言ではない。 名取裕子が出演してたように記憶していたが、これは勘違いだったようだ。 ドラ…
いまさらながら、幸田文の読者とは誰なんだろう、と思った。 懐古的な随筆はいつの日か考古趣味の対象になり、文学としては読まれなくなるのではないかという気がする。 幸田文が書いている対象について興味がある読者というのは誰なのだろう。 そして、幸田…
幸田文の文章に惹かれている。 そう思って随筆を借りてきたのだが、ちょっと違うようだ。 悪くはないのだが、ちょっと思ったのと違うと言うか。 読者の勝手な思い込みなんだろうとは思うのだが、いまひとつに感じてしまうのは、老いの影が見える点だろうか。…
幸田文は幸田露伴の次女である。 従ってこの「父」とは幸田露伴のことである。 幸田露伴の臨終記ともいえる表題作、その亡き父の思い出を語る随筆である。 幸田文の語り口は、東京の下町の喋りの息遣いが感じられる。 たぶん、言葉使いだけじゃなく、その背…
読了まで何ヶ月かかっただろうか。 まぁ、長い旅行記である。 それだけ道中の出来事やら沢山あるのだが、事の仔細が、上から目線なのが気になった。 明治維新の矜持を前提に他国を眺めているので、それはもう酷い言い様である。 冒険記として、或いは民俗学…
幸田文をもう一冊。 今回も図書館で借りたのだけど、こちらの方が気になっていたのだった。 タイトルの通り、木に関する随筆である。 雑学を披露するでもなく、淡々と木に対する印象や描写で綴られ、作者の思いが込められる。 随筆とは随想、つまり心に浮か…
幸田文は幸田露伴の娘、と書いてみても、もはや幸田露伴の読者なんて、学生か年寄りだろうか。 ましてや、娘の幸田文なんて読まれていないような気がしてならない。 この随筆(あえてエッセイとは言わないでおこう)は、新聞に日々掲載されたもののようだ。 …
電子書籍をふらっと買ってしまった。 モーリー・ロバートソンは、週末深夜のFMでオルタナ系の電子音楽をかけるイメージしか持っていなかったのだけれど、最近はTwitterで発言をみかけたり、TVにも出ているようだ。 そんなモーリーが本を出していたので、ちょ…
この本もまた図書館で借りた。 改めてビジネス書を読んでみたものの、いまいちピンとこない。 ビジネスにおいて様々な国、人、習慣を組み合わせて活動することのノウハウをまとめた本である。 それだけのことに、フラットという言葉を使ってしまうことのほう…