雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

物語

隣の女/向田邦子

これももらった本。 読んだことなかったような気がしていたが、1回読んだことがあった。 案外覚えていないものだ。 向田邦子は、たまに会う親戚のおばさんような感じがする、と前に書いたことがあったと思うが、読み出すとその感じが戻ってくる。 何というこ…

平家物語(4)

いよいよ佳境に入り、那須与一が登場し、平氏の登場人物たちは次々捕らえられたり、自ら入水したりする。 壇ノ浦の戦いは決定的で、一気に平氏は敗走する。 源頼朝と後白河法皇の駆け引きの間で、平家追討することでで勧請を求める御家人達が愈々、平家の末…

平家物語(3)

岩波3巻目は、原本の7〜9巻が収められている。 平家がどんどん都落ちしていき、京都に源義仲(木曾義仲)が上洛してくる。 香川の八島に潜む平家に、木曾義仲が討伐に向かうが敗退し、京都での評判を落とす一方、源頼朝が征夷大将軍を鎌倉で拝命し、義仲討伐…

姫君を喰う話/宇能鴻一郎

宇能鴻一郎の名前は、団鬼六、川上宗薫と並ぶポルノ小説の大家としてであり、実際にその作品を読んだことはなかった。 今までの知り合いでも果たしていただろうか。 もちろん教科書に取り上げられることもなく、ただ文学史を眺めていると、この本にも収めら…

平家物語(2)

さて、岩波の2巻目は、原本の4巻から6巻にあたる。 福原京への遷都騒動、寺院勢力との対立、そして奈良焼き討ちといった事件が続き、平家に対する不満の声が高まっていき、伊豆から関東辺りの勢力をまとめる源頼朝が挙兵し、富士川で勝利する。 一方で、長野…

平家物語(1)

日本の古典文学をあまり読んでいないのは、ちょっと教養が足りないというか、まだ手つかずの未読の山があるような気がしている。 方丈記、竹取物語なんかは、短いので読んだことはあっても、戦記物は手つかずだったので、平家物語でも読んでみるかと買ってみ…

復活の日/小松左京

何となく思い出して、買って読んだ。 読んだつもりでいたけど、実は読んでいなかった。 あらすじとしては、とある陰謀に関連して、最悪のウィルス(というのは正確な表現では無いのだけれど、ネタバレになるのでいったん)が世界に拡散し、1年も経たずに人類…

怪談/ラフカディオ・ハーン

お盆なので再読。 とは言え、最近流行りの実話(という語り口のフィクション)系の怪談とは異なる。 「むじな」「雪女」といったよく知られた話が収められているが、その語り口は懐かしさを起こさせる。 ラフカディオ・ハーン自身はアイルランドとギリシアの…

旅の時間/吉田健一

なんとなく、吉田健一を読み返してみる。 選挙で政治めいているから、吉田茂の息子を読んでみるかという意図ではない。 十篇の連作短編なのだけれど、共通しているのは主人公が旅行しているらしいこと、主人公は誰かと話をしている、というぐらいだろうか。 …

金閣寺/三島由紀夫

本棚の配列は難しくて、大きさとジャンルと著者で場所が決まって、著者の中でどう並べるかは迷うところである。 編年順に並べることもあれば、気に入った順に並んでいることもある。 三島由紀夫は気に入った順に並んでいるようで、「金閣寺」はわりと気に入…

サラサーテの盤/内田百閒

久しぶりに引っ張り出して読んでみる。 内田百閒の作品のうち、不気味な雰囲気の作品を集めたアンソロジーである。 どの短編も不思議というより、気味の悪い、後味の悪い、といった雰囲気が漂っている。 何がどうという説明ができないのは、読み手が能なしな…

人間椅子/江戸川乱歩

小学校の図書室にずらりと並んでいた「怪人二十面相」シリーズは読んでいない。 大人になって、何のきっかけだったか、読み始めたのがこの春陽堂から出ている江戸川乱歩文庫だった。 「人間椅子」はイカ天にも出ていたオルタナ経由のHR、プログレのバンド名…

嵐が丘/エミリー・ブロンテ

名作と言われる小説を読んでいないのは、教養が足りない証拠じゃないか、と言われてもぐうの音も出ないので、読んでみるかと思ったのはもう何ヶ月前だか忘れた。 そんな事言われてもいないし、言われたってへらへら誤魔化すだけだと思うけど、ようやく読み終…

数学ガール/結城浩

数学は中学までは何とかなったが、高校はついていくのがやっとだったにも関わらず、大学受験までは数学と付き合っていた。 数学とは手を切ったに関わらず、経済原論やらITやらに手を出したものだから、うっすらと数学(数Ⅰぐらい?)は常に意識していた。 近…

ここはとても速い川/井戸川射子

不思議な感触の小説だった。 ネットのどこかで評判を見かけて、気になったので図書館で借りてみた。 なので、著者のことも知らないし(芥川賞を受賞していたらしい)、どんな小説か(野間文芸新人賞を受賞したらしい)もほぼ無の状態で読み始めた。 感触につ…

神様/川上弘美

この前、何となく買った川上弘美の短篇集。 前に読んだときにも思ったけれど、何となく少女漫画の感じがする。 何がどうという説明はできないのだけれど、少女漫画のような肌触りがする。 「くま」は最初と最後に登場し、途中「ウテナさん」が活躍する。 連…

豆大福と珈琲/片岡義男

片岡義男の名前は知っていても、読んでこなかった作家の一人である。 それがひょんな拍子で、友人からのお薦めで手に取ったのが数年前で、未だに読んでいない本は多いのだけれど、これは図書館の棚を眺めていて目にとまった。 というか、文庫本で借りられる…

うわさのベーコン/猫田道子

たぶん2000年頃に話題になったのではなかったろうか。 サブカル界隈で話題になってたように記憶しているが、相変わらず絶版のままらしい。 ふと思い出して読み直してみる。 改めて読み直してみて、この作品に漂う違和感のようなものは、詰まるところ稚拙さな…

うたかたの日々/ボリス・ヴィアン

名前は知っていても、手に取らなかった本のうちの一冊である。 なぜ手に取らなかったのかは分からない。 物語としては悲劇的な恋愛譚と言っていいのだろうか。 コランとクロエ、彼らの周りに、シック、ニコラ、アリーズ、イジスの6人が物語の中心にいる。 一…

本心/平野啓一郎

今までに平野啓一郎を読んだことがあっただろうか。 2005年からの読書記録としてのこのブログには記載は無いが、読んでも書いていないこともあるし、2005年以前に読んでいた可能性が無いことも無い。 この本を読もうと思ったきっかけも良く分からないが、未…

センセイの鞄/川上弘美

久しぶりに川上弘美を読んでみようと思ったのは、酔っぱらっていたからかもしれない。 酔った帰りにブッ〇オフで何となく買った。 何冊か読んだのが数年前だった気がしている。 川上弘美の小説は少女漫画的な印象がある。 少女漫画とは何か、という話はたぶ…

近畿地方のある場所について/背筋

おそらく3か月ほど待ってようやく借りることができた。 怖いと評判だけは聞いていたが、なるほどよくできていると思った。 ホラー小説を読むということは、恐怖するという娯楽であろう。 この物語での恐怖を盛り上げるために、笑いと不安定な動きのモチーフ…

マイ・ロスト・シティ/スコット・フィッツジェラルド、村上春樹訳

フィッツジェラルドを読んだのは何年ぶりだろうか。 もしかすると20代の頃読んだのが最後かもしれない。 手に取ったきっかけも覚えていない。 フィッツジェラルドのこの雰囲気は、当時どう思ったのだろう。 それでも、処分せずに本棚に残っていたということ…

徘徊タクシー/坂口恭平

何となく借りてみて、一気に読んでしまった。 徘徊タクシーとは、徘徊する老人を乗せて、本人の行きたいところに連れていくサービスである。 認知症の老人は、世界が分からなくなってしまったのではなく、違う次元の世界を見ているのだという捉え方が中心に…

813/モーリス・ルブラン

8月13日に何か見覚えのある感じがして、軽く調べたら、アルセーヌ・ルパンシリーズの「813」だった。 そういえば読んだことあったっけ?と借りてみた。 小学生の頃、図書室で見たような気もするし、でもはまった記憶はない。 ヴェルヌは読み漁ったし、江戸川…

凶夢など30/星新一

星新一は学級文庫に誰かが持ってきたのを読んだのが、最初のような気がする。 面白くて読み漁った気がするけれど、自分で買ったのは1冊ぐらいではないだろうか。 もう、どれが既読でどれが未読だったかあやふやだけれど、この本は未読だったようだ。 気の利…

美しい星/三島由紀夫

自らを宇宙人であると自称する家族の物語である。 父は火星人、母は木星人、息子は水星人、娘は金星人を自認している。 当然ながら、そういう人々と周囲との軋轢やら摩擦がある。 それは宇宙人だから故ではなく、周りと異なる概念や思想を持ってしまった故の…

イレーヌ/ルイ・アラゴン

初めて読んだのは高校生の頃だったと記憶している。 奢霸都館の洋書の雰囲気のする装丁の本だった。 何故この本に辿り着いたのかは覚えていない。 澁澤龍彦経由かもしれないが、まだこの頃はそこまで読み漁ってはいなかったはずである。 それはともかく。 ア…

超男性/アルフレッド・ジャリ

アルフレッド・ジャリは19世紀末のフランスの小説家で、正確にはシュルレアリスム運動に参加していたわけではないけれど、アンドレ・ブルトンの「シュルレアリスム宣言」において ジャリはアブサント酒においてシュルレアリストである。 と語られている。 巌…

ナジャ/アンドレ・ブルトン

ナジャは不思議な物語だ。 ナジャその人は不思議ではない。 ナジャは、プルトンが一目惚れしたちょっとエキセントリックな、言動が目立つ若い女というだけの気がする。 惚れた者の弱みであれやこれや翻弄されているブルトンだが、相手を神格化させたせいで、…