物語
シュルレアリスムの本を読み漁ったころには、既に手に入らなくなっていた小説のシュルレアリスムシリーズなのだが、最近、ふと思い出して検索してみたら手に入った。 便利な世の中になったものだ。 スーポーはブルトンとの「磁場」でしか読んだことが無かっ…
話題になってた本を借りてみた。 とは言え、3か月待ちだった。 借りたら一気に3日で読み終えてしまった。 あらすじを書くのは無粋だが、第二次世界大戦における独ソ戦に巻き込まれ、狙撃兵として成長していく少女の冒険小説といった体だが、ウラヌス作戦、…
久しぶりに何となく読み返す。 芥川賞を受賞した時は大学生の頃で、当時の友人から薦められて読んだ。 当時、読んでどう思ったのか覚えていない。 だが、単行本は今でも本棚に眠っているだろう。 表題作「スティル・ライフ」と「ヤー・チャイカ」の2編が収め…
いつ買ったのか覚えていないが、装丁が奥村靫正氏の昭和63年の6刷である。 サイバーパンクという言葉も、昭和だったのかと思うと、感慨深いものがある。 今さらあらすじを説明したところで何も意味はないし、登場するガジェットやらギミックを解説したってつ…
図書館で借りて読んだ。 今まで食指が動かなかったのだが、読んでみた。 読まなかった理由が分かったが、ここでは書かない。 一冊読み切れずに終了。 太陽の季節 (新潮文庫) 作者:慎太郎, 石原 新潮社 Amazon 太陽の季節改版 (新潮文庫) [ 石原慎太郎 ]価…
この本もまた図書館で借りた。 人気が高くてかなり待ったと思う。 読んだ第一印象は、これは再生の物語だと思った。 まず、推しを通じて世界との関わりを持つ主人公、という設定が面白いと思った。 その推しの暴行事件(の疑い?)がきっかけで、主人公と世…
この本もまた図書館で借りた。 SFだったら買っても良いかと思っているのだけれど、評判があまり良くなくて躊躇ってしまった。 読んでみた結果としては買っても良かったなと思った。 改変歴史物で、第二次世界大戦で日本が勝利した1980年代の世界が舞台である…
なんとなく借りてみた。 ずいぶん昔に「停電の夜に」を読んだ覚えがある。 だがそれだけで特に気になっていなかったが、ふと読んでみようと思った。 どこかイタリア?の古い街に暮らす中年女性が主人公である。 瑣細な事が気になるような性格で、共感できる…
もしかすると、中島らもを読むのは、これが初めてかもしれない。 Wikiで見てきたら、泥酔の上、転落死したのが2004年だった。 享年52歳。 今の自分の歳と重なると、ちょっと感慨がある。 だからといって何があるわけでもない。 この本はアル中で入院した顛末…
子供の頃に読んだ本をもう一度読み返してみたいと思っても見つからないことがある。 宮沢賢治や小川未明などはそんなことは無いのだが、経済高度成長期に創作された児童文学は何処に行ってしまったのか。 もっとも児童文学に限らず、大衆文学や中間小説やポ…
ちょっと前に知って気になっていたので借りてみた。 映画「メッセージ」の原作ということも、気になる要素の一つ。 実際読んでみると、面白いのだけれど理が勝つというか、いまひとつ物語世界に入り込めない感じがしてしまう。 とはいえ、「顔の美醜について…
気になったので図書館で借りてみた。 円城塔を読むのは2冊目だろうか。 文字にまつわる物語であり、遊びのようなものだと思った。 面白いのだけれど、ちょっとやりすぎな気もする。 残念ながら途中で飽きてしまった。 文字渦(新潮文庫) 作者:円城塔 発売日…
断続的に読み続けていたので、半年ぐらい掛かったろうか。 織田作之助の名前は知っていてもほとんど読んでいなかった。 青空文庫で何篇かつまみ読みしてみたら、案外面白かったので、全集を手に入れてみた。 青空文庫で無料公開しているものが、纏まると有料…
ようやくオリジナルが読めた。 というのも、図書館の順番待ちのせいだが、仕方がない。 嫌なら買って読めという話にすぎない。 横浜駅という生命体が本州を覆い尽くした未来を舞台にした冒険小説、とでも纏めようか。 スラスラと読めたのだが些か平坦な気も…
この本もまた図書館で借りた。 前から気になっていた小説。 Twitterで発表されたらしいときいて、あまり積極的に読もうとは思っていなかった。 なのでとりあえず読んでみるかと借りた。 そして読んでからわかったのだが、これは2巻目だった。 自己増殖を続け…
もう何度目になるか、また読んでみる。 同じ本を何度も読むのは、新しい発見の体験ではない。 だが、居心地の良い場所に籠もる事でもない。 ストーリーに身を委ねながら、ディテールを味わう。 物語のメッセージを噛み締め本を閉じる。 インド夜想曲 (白水U…
久しぶりに再読した。 持っているのは新潮文庫版。 とめどないおしゃべりと猫と横浜ベイスターズの小説である、と纏めてみる。 新しくも古くもないが、90年代の雰囲気が滲み出てしまっているが、それもまた背景に過ぎない。 何も起きない、いつまでも続きそ…
久しぶりに読む安部公房は、相変わらず居心地の悪さのようなものが漂っていた。 恐らく永遠に居心地の悪い小説のような気がする。 いまさらあらすじを紹介したり、何のメタファーなのかという話をするのは、止めておこうと思う。 昆虫採集を趣味とする男が砂…
何となく読み返してみる。 Twitterをはじめとする短文に慣れていると、なんと読みにくい文章であることか。 だらだらと句読点もなく続く文章は、詩的というか、回りくどいというか。 そして金沢という舞台設定は、金沢という街を紹介するでもなく、むしろマ…
久しぶりにボルヘスを読む。 外出自粛だからな。 古今東西の悪人のエピソードの短篇+αである。 持っているのは晶文社版であるが、今は「汚辱の世界史」というタイトルで岩波文庫にも入っている。 「悪党列伝」の方が良いタイトルだと思うが、版権や訳者の関…
スマートウォッチがリアルタイムに人体の情報を収集し、クラウド上に集積して、AIが夕飯のオススメをプッシュ通知で知らせる、というのは既に現実である。 システムに接続すると健康が維持される世界は、徐々に現実に近づいている。 フーコーが告発した生権…
何となく読み返してみる。 数ページの長さの短編小説や、散文詩のような文章の詰まった作品集である。 面白いのもあり、侘しいのもあり、良くわからないのもある。 結局のところ、ブローティガンの作品の、何が良かったのか分からなくなる。 面白いのか面白…
幸田文の短編小説集である。 随筆での語りが小説世界では制約になって、どの登場人物も作者の分身となってしまうのではないか、という漠とした不安のようなものがあったのだが、それは杞憂だった。 表題作の「台所のおと」に描かれる料理人を始め、様々な人…
子供の頃、NHKのドラマで観た記憶がある。 オープニングはトルコのCeddin Dedenで、これがとても印象的だった。 その後民族音楽を聴くきっかけだったと言っても、過言ではない。 名取裕子が出演してたように記憶していたが、これは勘違いだったようだ。 ドラ…
とても奇妙な物語だ。 主人公は美人だが金銭感覚の無い妻と、スポーツジムのインストラクターでカッコイイ事が判断基準の夫、という組み合わせだ。 まず目につくのは、二人共、会話が恐ろしく短い。 ほとんど単語で会話をして、自分語りなどしない。 だが、…
初めて五木寛之の小説を読んだ。 雑に言ってしまえば、主人公の女性遍歴と車遍歴をテーマにした短編集というところだろうか。 だが、それぞれの車についての印象もさることながら、様々な女性との付き合い方も面白い。 それは恋愛に至るまでの過程だったり、…
レムの泰平ヨンシリーズを借りてみた。 未来学会議でテロに巻き込まれ、脳移植を経て未来世界で目を覚ますと、そこはドラッグ漬けの世界で、というドタバタSF。 ドラッグ社会を批判しているとかって感想も見るが、批判しているだろうか。 むしろ、現実とは何…
何故か、この本を読んでいなかった。 SFの入り口がウェルズ、ヴェルヌ、小松左京、眉村卓であった小中学生の頃、長編は長すぎるからだろう。(小松左京の長編も、ほとんど未読) なので、ちょっと読んでみようかという気になった。 読んでみたら面白い。 中…
ふと図書館で眼についたので借りてみた。 浅倉久志が翻訳したSFの短編のアンソロジーである。 バラードやヴォネガットの作品は、以前読んだことがあったが、あまりピンとくる作品がなかった。 久しぶりに活字を読んだので、読めてないのかもしれない。 きょ…
ミシマの作品の中でも、異色な作品。 自らを異星人だと信じている一家の物語である。 この物語がイカれているのは、自らを異星人だと信じているのはこの一家だけではない。 それぞれが異星人であるという出自を根拠に、とても人間らしい振る舞いなのだが、地…