雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

随筆

日本いまだ近代国家に非ず/小室直樹

この本もまた図書館で借りた。 元の書名は「田中角栄の遺言」だそうである。 実は小室直樹を読むのはこれが初めてである。 市井の学者と言われるのもなるほど頷ける。 非常に論理的であり、正面切った正論を紡ぐ論客であると思った。 日本が近代国家になりき…

両手いっぱいの言葉/寺山修司

寺山修司作品から抜き出した名言集、とでも言う本。 そもそも寺山修司が好きでは無かったら、たぶん響かないんだろうなとは思う。 色んな作品の断片がテーマ別に再分類されている。 なるほどというものもあれば、そうかな、と思うのもある、 少年少女向けの…

コンニャク屋漂流記/星野博美

星野博美を知ったのは、このブログをはてなに引っ越した頃に見ていた、とあるブログだったと思う。 そのブログがどこだったかもう覚えていないが、おそらく同年代だろうと思われるブロガーが、星野博美にシンパシーを寄せていたのを覚えている。 かれこれ10…

不思議図書館/寺山修司

たぶんこの本を読んだのは、高校生の時だ。 昭和59年の初版である。 確か家の近所の小さな本屋で買ったのだと思う。 古本屋で見つけた珍しい本を紹介していくというスタイルで、サブカル的な話題を回していく。 軽く読めるが、シュルレアリスムやドゥルーズ…

食卓歓談集/プルタルコス

この本は誰に薦められたのか忘れてしまった。 西洋文化におけるエッセイの源流の一つとして位置づけられる「モラリア」からの抜粋版である。 日常の様々な疑問にああでもないこうでもないと話を繰り広げる。 古代ローマの思考なので、いまでは良く分からない…

詩人の食卓/高橋睦郎、金子國義

久しぶりに高橋睦郎のエッセイを読む。 東京を離れ、逗子に引越したいきさつ、そして食に関するエッセイといったところ。 約30年前のバブル期に書かれているためか、詩人のちょっと華やかな交友関係や生活が垣間見える。 詩人の食卓―mensa poetae 作者:高橋 …

父のなくしもの/松田洋子

久しぶりに松田洋子の漫画を読んだ。 Twitterでフォローしていて、この本はぜひ紙で買いたいと思っていたのだが、期限切れになるポイントが大量にあったので電子書籍で購入した。 内容としては、幼い頃の思い出から逝去に至るまでの、ご尊父への回想をつづっ…

書百話/榊莫山

榊莫山という名前を知ったのが、米焼酎のCMであったなんて、お里が知れるというものだろうか。 有名な書家ではあるが、その作品は好みではない。 だが、書に対する考えや、エピソードなどは面白く読めた。 書百話 作者:榊 莫山 出版社/メーカー: 毎日新聞 発…

泥酔懺悔

酔いにまつわるエッセイなのだが、酒を呑まない方の話が多くて、いささか鼻白む。 この本を企画はどういうつもりだったのか、逆に気になってしまう。 酔っぱらいの話は読むものではなくて、聞くものだということが良く分かる本である。 泥酔懺悔 (ちくま文庫…

無趣味のすすめ/村上龍

久しぶりに村上龍のエッセイを読む。 村上龍はビジネスマン的な意味で、小説家だと思う。 つまり、小説家という職業を真面目にやっている感じがする。 この本は雑誌のコラムコーナーが、元のようだ。 だから、分かりやすく、手短にまとめられている。 無趣味…

夜明けのブランデー/池波正太郎

何となく読んでみた。 池波正太郎が気に入ってるわけではない。 たぶん合わないタイプの人のような気がするが、文章は面白い時もある。 そして老いというものがにじみ出ている。 新装版 夜明けのブランデー (文春文庫) 作者: 池波正太郎 出版社/メーカー: 文…

トリエステの坂道/須賀敦子

須賀敦子氏の名前は、アントニオ・タブッキの翻訳者として覚えてはいた。 しかし、作家としての作品に手を取ることもなかったのだが、ちょっと読んでみようかと図書館で借りてみた。 実に不勉強なことなのだが、イタリア在住の後、上智大学で教鞭を執り、日…

<レンタルなんもしない人>というサービスをはじめます。/レンタルなんもしない人

Twitterでアカウントを見かけて、本がでてるので読んでみた。 ネットアカウントの方の本を読むのは2人目だと思う。 いい意味でも悪い意味でもなく、ネットで見たままの本だった。 Twitterで知っている人が、意外な一面とか裏話とか期待しても、ここには知っ…

眠れぬ夜に読む本/遠藤周作

何となく図書館で借りた。 遠藤周作を初めて読んだのは、子供の頃に家にあった孤貍庵シリーズのエッセイだったと思う。 なので、純文学作品よりエッセイの印象が強い。 そんな孤貍庵シリーズのエッセイなのだが、江戸趣味の話や、スピリチュアル系の話が多い…

スコッチと銭湯/田村隆一

久しぶりに田村隆一を読んでみる。 詩と随筆のアンソロジーである。 誰もが田村隆一のように詩を書くことは出来ないが、酒を呑んだり銭湯に浸かったりすることはできそうだ。 スコッチと銭湯 (ランティエ叢書) 作者: 田村隆一 出版社/メーカー: 角川春樹事務…

街場の現代思想/内田樹

随筆ばかり読んでいると、論理的思考ができなくなるような気がして、とはいえ急に堅い人文書に手を伸ばすほどでもなく、ちょっと堅めの随筆を選ぶ。 内田樹はレヴィナスの翻訳者として知っていたはずなのに、随筆で見かける名前と一致していなかった。 とも…

世界の奇妙な国境線/世界地図探求会

ついでに借りてみた1冊。 飛び地、未確定の国境、不自然な形の回廊、そういった地図上の国境線から、現代史の国境紛争問題に遡っていく。 この本もまた軽く読めてしまうが、あんがい重いテーマである。 世界の奇妙な国境線 (角川SSC新書) 作者: 世界地図探求…

ひとりメシの極意/東海林さだお

とあるブログで褒めているのを見て、読んでみようかと思った。 が、図書館で予約したところ、返却待ちになっていた。 そして夏休みの前日に、貸出可能の通知が来て、借りに行けず、結局、1週間遅れで受取って読み始めた。 食事に関する軽いエッセイである。 …

月の塵/幸田文

いまさらながら、幸田文の読者とは誰なんだろう、と思った。 懐古的な随筆はいつの日か考古趣味の対象になり、文学としては読まれなくなるのではないかという気がする。 幸田文が書いている対象について興味がある読者というのは誰なのだろう。 そして、幸田…

季節のかたみ/幸田文

幸田文の文章に惹かれている。 そう思って随筆を借りてきたのだが、ちょっと違うようだ。 悪くはないのだが、ちょっと思ったのと違うと言うか。 読者の勝手な思い込みなんだろうとは思うのだが、いまひとつに感じてしまうのは、老いの影が見える点だろうか。…

父・こんなこと/幸田文

幸田文は幸田露伴の次女である。 従ってこの「父」とは幸田露伴のことである。 幸田露伴の臨終記ともいえる表題作、その亡き父の思い出を語る随筆である。 幸田文の語り口は、東京の下町の喋りの息遣いが感じられる。 たぶん、言葉使いだけじゃなく、その背…

チベット旅行記/河口慧海

読了まで何ヶ月かかっただろうか。 まぁ、長い旅行記である。 それだけ道中の出来事やら沢山あるのだが、事の仔細が、上から目線なのが気になった。 明治維新の矜持を前提に他国を眺めているので、それはもう酷い言い様である。 冒険記として、或いは民俗学…

木/幸田文

幸田文をもう一冊。 今回も図書館で借りたのだけど、こちらの方が気になっていたのだった。 タイトルの通り、木に関する随筆である。 雑学を披露するでもなく、淡々と木に対する印象や描写で綴られ、作者の思いが込められる。 随筆とは随想、つまり心に浮か…

雀の手帖/幸田文

幸田文は幸田露伴の娘、と書いてみても、もはや幸田露伴の読者なんて、学生か年寄りだろうか。 ましてや、娘の幸田文なんて読まれていないような気がしてならない。 この随筆(あえてエッセイとは言わないでおこう)は、新聞に日々掲載されたもののようだ。 …

定年後の人生を変えるアドラー心理学/八巻秀

この本もまた図書館で借りた。 老いの問題とは何なのか、残された時間を意識しながら生きるということはどういうことなのか、アドラー心理学の考えを用いて一つの答えを導いているように思った。 環境が変わり、対人関係が変わることで直面する問題に対して…

日本一わかりやすいアドラー心理学入門/谷口のりこ、土居一江

この本もまた図書館で借りた。 前からちょっと気になっていたアドラー心理学をちょっと読んでみようと思った。 とはいえ、いきなり専門書に手を出すほどうぬぼれてもいない。 ちょっとした入門書で、概要がつかめれば、と借りた。 読んでみると、なるほど流…

沖縄生活誌/高良勉

この方の著作を読むのは初めてだと思っていたら、吉本隆明の南島論の著作「琉球弧の喚起力と南島論」で共同執筆されていた。 この本は、一言でいうなら、四季を通じて沖縄の慣習等を紹介する本だ。 正月に始まり大晦日に至る沖縄の一年を、フィールドワーク…

ロック読本/渋谷陽一 選

某大手の古本チェーン店で叩き売りされていたので買ってみた。 福武文庫を叩き売りするなんて、最高すぎる。 まぁ、世間では本を読まないらしいので、そんなことで喜んでいるのだって変人扱いなんだろう。 執筆陣は渋谷陽一を始めとする音楽ライターだけでな…

持たない幸福論/pha

年末に期限切れになる楽天ポイントが貯まってたので、今まで読んでなかったようなものを、ちょっと読んでみようかと探していて気になった1冊。 ちょっと著者の方はネット上では知っていたが、本を出していることは知らなかった。(ネットを表面的にしか見て…

ひとり暮らし/谷川俊太郎

久しぶりに谷川俊太郎を読み返してみる。 詩人としてというより、理想的な老後の生活を送っている先輩として、という感じがしている。 変化し続ける世界と、老いていく自分との関係は、難問だという気もするし、大したことではない気もする。 だが、確実なの…