雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

日本の歴史をよみなおす/網野善彦


歴史教育は政治教育であるということ

日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)

日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)


日本は貧しく、江戸時代以前は悲惨で、戦国時代は大名たちが覇権争いに明け暮れて、といった歴史観はいつ教えられたろうか?
WW2で日本は敗戦し、復興の中から経済的に豊かな国のひとつになり、素晴らしき民主主義を守っているが、それ以前は、帝国主義国家であり、さらに前は前近代的鎖国政策を取る専制君主の国だった、というのは、巧妙な政治教育と何かを押し付けるための嘘が紛れ込んでいると思う。
だけど、嘘なら嘘を訂正することをしないのは何故だろう?

中世日本においては、モザイク状に権力が分散しており、さまざまな権力闘争がさまざまな場の政治として現れていたのだと思う。現代の言葉である、国家、官僚、政治、そういった言葉が空虚に思えるほど、中世日本には濃密な世界があったと思う。そして借り物の民主主義の下では、中世とさほど変わらない権力争いが行われていないだろうか?

現在はWW2以前と何ら分断されていない、それどころか明治維新も突き抜けた、はるか昔の論理や心情や美意識に繋がったままかもしれない、そんなことを考えてしまう。