たまには世界情勢を考えてみる
- 作者: ベルナール=アンリレヴィ,Bernard‐Henri L´evy,立花英裕
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 1996/12
- メディア: 単行本
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タイトルの通り「純粋さ」に警鐘を鳴らしている。そもそも20世紀末に書かれた本であり、その後のアメリカ同時多発テロやイラク戦争は射程に入っていないが、特に遜色はない。
印象に残ったキーワードは「原理主義インターナショナル」である。一見結びつかないような過激な主義が「原理主義」という1点でつながっており、国際的な支援関係として立ち現れるという。
1990年代のコミュニズムの崩壊後の、イスラム勢力の動きやボスニア紛争、ルワンダ内戦は実は過去から連綿と繋がってきた「純粋さ」に起因しており、民主主義の危機が現れていると説く。
つまり、コミュニズム崩壊後の紛争は民族、出自の「純粋さ」を守るために「他者」を想定し、攻撃をしているのだという。それらは一見、穏健な顔をして現れ、「純粋さ」を守るためには、どんな残虐なことでもしてしまう危険があるのだという。
そしてそれは、もともとコミュニズムに内包されており、ポルポト政権下のカンボジアに顕著にみられていたし、ナチズムやフランス革命にまで溯れるという。
そしてそれは政治主張だけの問題ではない、根の深い問題である点において、民主主義が脅かされているという。
「美しい日本」政策はそんな萌芽でなければ良いが・・・