喉元に刺さった魚の骨のように
- 作者: 山室信一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2004/07
- メディア: 新書
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この著者は「満洲国」とは何だったのか、と問いかけずにはいられなかった、という。
確かにその問いに答えることは大変難しく、正しく議論出来ていない事が、日本のアジア外交の弱点でもあるのではないだろうか?と思った。
この本の、テーマは重く、記述は激情的で、事実は冷酷だ。
とても印象に残ったのは、「満洲国」を作り出したのは「善意」であり、その結果が犯罪行為であったとしても、当時の関係者はそれを誤りだと認めていないらしい、ということだった。
スローガンは高潔であり、誤っていない、そのことを実現する過程で、誤ってしまった、だから考え方は悪くない、そんな考え方をWW?後日本の政治の中枢人物たちは発言を続けていたし、今も続けているように見える。
そしてこの著者は、注意深く明言を避けているが、「満洲国」を端的に総括するなら、日本人が起こしたユートピア思想による犯罪行為なのだと思う。