雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

キメラ―満洲国の肖像/山室信一


喉元に刺さった魚の骨のように

キメラ―満洲国の肖像 (中公新書)

キメラ―満洲国の肖像 (中公新書)


この著者は「満洲国」とは何だったのか、と問いかけずにはいられなかった、という。
確かにその問いに答えることは大変難しく、正しく議論出来ていない事が、日本のアジア外交の弱点でもあるのではないだろうか?と思った。
この本の、テーマは重く、記述は激情的で、事実は冷酷だ。
とても印象に残ったのは、「満洲国」を作り出したのは「善意」であり、その結果が犯罪行為であったとしても、当時の関係者はそれを誤りだと認めていないらしい、ということだった。
スローガンは高潔であり、誤っていない、そのことを実現する過程で、誤ってしまった、だから考え方は悪くない、そんな考え方をWW?後日本の政治の中枢人物たちは発言を続けていたし、今も続けているように見える。
そしてこの著者は、注意深く明言を避けているが、「満洲国」を端的に総括するなら、日本人が起こしたユートピア思想による犯罪行為なのだと思う。