雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

平坦な戦場でぼくらが生き延びること―岡崎京子論/椹木野衣


不可視なバブル崩壊

平坦な戦場でぼくらが生き延びること―岡崎京子論

平坦な戦場でぼくらが生き延びること―岡崎京子論


評論を紹介しようとするのは難しく、まさに本のタイトルの通りではある。
バブル期のポップカルチャーと、バブル崩壊後の目に見えないところでの世界観の一変について、岡崎京子のマンガを通じて辿っているのだと思う。
それがもっとも先鋭化しているのは、現代美術であり、一昔前のサブカルチャーであり、そしてそれらの境界があっという間に消されていくという状況が、「平坦な戦場」に繋がっている。
だがすでに前衛も保守もなく、あらゆるものが平坦になっていくことの危機において、全ての文化がもはや死に向かっており、カワイイ世界は血塗られている。
(まだこの本においては、アメリカ同時多発テロは起きていない)
しかし岡崎京子自体、もはや忘れられている?