雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

箱男/安部公房


とうさくしゃのろんり

箱男 (新潮文庫)

箱男 (新潮文庫)


改めて読むと凄い小説だったことに気づかされた。
見ることと見られること、箱の中に閉じ込もることと世界を閉じ込めてしまうこと、本物と偽物、論理を転倒し、物語を倒錯し、倒錯者の論理で小説が展開する。
紛れも無く小説ではあるのだが、物語としては倒錯している。
これはある意味、世界を転倒することによりシュルレアリスムである、と言えると思う。
昭和47年という時代背景も何らかの影響はあるのかもしれない。