日常と非日常の逆説
- 作者: 島尾敏雄,吉本隆明
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1988/08/04
- メディア: 文庫
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もうすぐ終戦記念日だからという訳ではないが、島尾敏雄なんぞを引っ張り出してみた。この本においては、終戦直前の著者の体験が下敷きになっているらしく、戦争という非日常が日常となったものが、終戦という形で転換されることで、逆説的に非日常に見えてしまう瞬間、例えば、特攻隊としての死への意識だとか、隊員達のモラルだとか、そんな日常と非日常の転換を捕らえている。そしてそれが夢の中のようなエクリチュールに乗せて展開している。実はシュルレアリスムは、こういった戦争文学と相まみえる事ができないと思っている。戦争体験という壮大な非日常の前では、日常の裂け目としての非日常は、あまりに違いが大きすぎるのだ。だが一方でそれは集団的無意識の発露、普遍経済学の蕩尽、といった観点では同列に捉えられるのだ。