雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

リアルであること/中沢新一


リアルかぁ…

リアルであること (幻冬舎文庫)

リアルであること (幻冬舎文庫)


正にバブルの頃、中沢新一を読んだのだが、浅田彰に比べて読み切れない所があった。浅田彰の著作はポップで理解もしやすかったのだが、中沢新一の著作はそうではない何かがあった。それは、10年ほど経って、例えばこの本のような形で出会うことになった。バブル崩壊後、ベルリンの壁も崩れて、共産主義体制は(おおかた)崩壊し、よりリアルな世界に触れられると思ったのだが、実は別の幻想が立ち現れて来ているという。短絡的に宗教へ走ることでは触れることはできず、だからといって大いなる物語以前に後退するようなスタンスに立つことでもなく、本当のリアル=死と向き合うような知のあり方を考える、といったことか。だがこういった本を読むと、考えたかのように錯覚しそうになる。本当は理解しただけなのに、考えたことに錯覚しがちだ。とは言え、この本に書かれているような本当のリアルについて考えるつもりは無いのだった。