価値観について
- 作者: 池澤夏樹
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1991/12/10
- メディア: 文庫
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最初に読んだのは、大学生の頃だった。日本中がバブルで浮かれている最中にそっとこの本は出ていた。友達とこれは新しい小説だと騒いでいた。それから池澤夏樹を読み漁り、その友達とは疎遠になり、その頃の事はすっかり遠い世界のこととなった。それからある日、ふと思い出して、文庫本で買い直し読み返したものの、何となく違和感があった。それからさらに時は流れて改めて読んでみると、面白いものは面白いのだった。
この本の価値は冒頭の数行に凝縮されている。だからといって残りのページに意味が無いのではない。この本を読んで思うのは、良い小説は新しい価値観を見せてくれるのだと思う。そしてその価値観にどれだけ共感できるかで好き嫌いが決まるような気がする。
この本はやはりとても好きなのだった。