- 作者: プラトン,加来彰俊
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1967/06/16
- メディア: 文庫
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ここに表される哲学の陰気さは何だろうか?プラトンが描くソクラテスの姿は歪んでいないか?弁論家が最も優れているという主張に対して、真−善−美と偽−悪−醜の2項対立から、真実を述べないから悪徳、という主張を繰り広げていく。この本でのソクラテスは、超原理主義者の姿が垣間見える。真でないものは偽である、という主張を認めさせたうえで、善きことは真であることを認めさせ、真でないことは悪であると持ち込んでいく。2項対立と類推で組み立てられる論理の山は、シンプルがゆえに反論が難しい。2色しかない世界では、白でないものは黒と認めざるを得ない。だがそれは、あくまで白ではない存在、でしかないことを黒であるとすりかえてしまえば、それは正しくなるのだ。あらゆることを2項対立に還元してしまう。世界を2色で塗り分けてゆく。暴力的とも言えるその論理は、ウルトラ原理主義に繋がっていると思うのだ。