雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

絶望のきわみで/E・M・シオラン


夜の思い出

絶望のきわみで

絶望のきわみで


タイトルに込められたこの本の経緯は、序文で作者自らが語っている。
シオランが22歳の処女作ではあるが、この老成ぶりは流石という他無い。
何かを言い切る。
それは結論でもあるかもしれないし、中間点であるかもしれない。
論理を省略しながら、言葉を重ねる。
手短に語りつくしながら、次のテーマに移る。
シオランのスタイルを、乱暴に要約するとそんな感じだと思う。
不眠の明晰さ、絶望を突き抜けた熱狂、そんな感じが判るだろうか?
判るのであれば、この本の中に共感できるところは、大いにある。
判らないのであれば、シオランには近づかないほうが良い。
そんな、試金石のような本だと思った。
バタイユの「内的体験」とは異なる「暗い夜」の感覚がここにはある。
そんな「暗い夜」を抱えていた10代の頃を、ふと思い出してしまう。