なにかふかいな
- 作者: 安部公房
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1973/08/01
- メディア: 文庫
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昭和20年代の短編集。
安部公房を読み始めた頃に、古本屋で見つけて買った記憶がある。
改めて読んでみると、この不快さは何だろうか?
神経を逆なでするような、ヤスリで皮膚を撫ぜられているような、ざらついた感触。
小説というより寓話に近い。
だが、何か教訓を残すのではなく、斜にかまえた様な皮肉めいた話、という感じか?
そうではない気がする。
何か現実を否定しているのだが、ユートピアも否定している。
どこにも根拠がないこと、救いがないままに物語は宙吊りにされている。
夢を写し取ったかのように、物語は意味を拒絶しているようだ。
つまり、物語は展開するのだが、そこにあるのは必然ではないようだ。
また、政治的なメッセージが込められている様に見える物語から政治色を除くと、その不条理さ、言いようのない不快さが残るように思う。