雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

われらの時代・男だけの世界―ヘミングウェイ全短編〈1〉/アーネスト・ヘミングウェイ


皮肉めいた笑い

われらの時代・男だけの世界 (新潮文庫―ヘミングウェイ全短編)

われらの時代・男だけの世界 (新潮文庫―ヘミングウェイ全短編)


学生の頃に教えられた文学史に出てくるような、名作と言われる作品はあまり読んだことが無い。
ヘミングウェイの作品と言えば「老人と海」のイメージだが、読んだ記憶が無い。
ハバナで悠々自適な生活をし、ダイキリと猫が好きで、何故か自殺してしまったという、ヘミングウェイ自身はちょっと気になる存在ではあった。
人となりが気にはなるが、いきなり名作を手に取るのもちょっと気が引ける存在、そんな位置付けだったのだが、この短編集が新訳という触れ込みで出たので買った。
最初に読んだ時は、それまで抱いていたイメージと異なるように思えた。
改めて再読してみると、皮肉めいた笑いの作家、という印象だった。
それぞれの短編の合間に挟まれている文章は冷酷であり、虚無的な雰囲気を漂わせている。
かと思えば、釣りやボクシング、闘牛に関する詳細な記述の短編もあり、ヘミングウェイの多様さが良く表れているような気がした。
全体的には皮肉めいた笑い、それがアメリカの作家らしい雰囲気を出しているように思う。
これは、第1巻。さて2巻も読むか