皮肉めいた笑い
われらの時代・男だけの世界 (新潮文庫―ヘミングウェイ全短編)
- 作者: アーネストヘミングウェイ,高見浩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1995/10/01
- メディア: 文庫
- 購入: 6人 クリック: 37回
- この商品を含むブログ (59件) を見る
学生の頃に教えられた文学史に出てくるような、名作と言われる作品はあまり読んだことが無い。
ヘミングウェイの作品と言えば「老人と海」のイメージだが、読んだ記憶が無い。
ハバナで悠々自適な生活をし、ダイキリと猫が好きで、何故か自殺してしまったという、ヘミングウェイ自身はちょっと気になる存在ではあった。
人となりが気にはなるが、いきなり名作を手に取るのもちょっと気が引ける存在、そんな位置付けだったのだが、この短編集が新訳という触れ込みで出たので買った。
最初に読んだ時は、それまで抱いていたイメージと異なるように思えた。
改めて再読してみると、皮肉めいた笑いの作家、という印象だった。
それぞれの短編の合間に挟まれている文章は冷酷であり、虚無的な雰囲気を漂わせている。
かと思えば、釣りやボクシング、闘牛に関する詳細な記述の短編もあり、ヘミングウェイの多様さが良く表れているような気がした。
全体的には皮肉めいた笑い、それがアメリカの作家らしい雰囲気を出しているように思う。
これは、第1巻。さて2巻も読むか